2008年02月07日

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ファラオの復讐対策をマカオで復習する〜香港ぶらぶら雑感記 其の四〜

今回、初めてのマカオが本当に楽しみだった。
やはり想像したとおりで、香港とは違う匂いのする街だ。
旧ポルトガル植民地らしく、やはり南欧の風情がそこかしこに残っている。
街も人ものどやかで、瀟洒な南欧風の洒落た街並みの裏には中華な生活風景があり、ああ良い風情だなあと思っていれば、途轍もなくエゲツナイ電飾満艦飾なギンギラギン的大型カジノも当たり前のように立ち並んでいる。

そして、驚いたことにこの街では、道を渡ろうとするとドライバーがブレーキを踏む。
日本にいると、まあほぼ当たり前のことなのでナンノコッチャと思われるだろうが、ヨーロッパ各地でもイスタンブルでも、そして香港でも、大概「歩行者を見たらアクセルを踏む」という反応が当たり前なのだ。

1990年ごろのカイロも「ブレーキを踏む国」だった。
しかし年月が経つにつれて、次第にアクセルを踏むドライバーが増えたような印象がある。
人の心が荒れてきたのかなあ、と、少し寂しい思いをしたのを覚えている。

だから、どこかの街に出かけて「ブレーキかアクセルか」を観察していると、街の住民のテンションが感じられるような気がする。
個人的な思い込みではあるけれど。

夕暮れ時に南欧風の街角をぶらぶらしていたら、懐かしいものを見つけた。

サトウキビのジュースサトウキビのジュースだ。
カイロの街角でもよく売っている。
住んでいたころは
好きでよく飲んでいた。
暑くてバテ気味のときなど
暑気払いにもってこいなのだ。


マカオの街角でも機械で潰すように絞ってくれる。
飲むとどうも結構冷やしてあるので、冷たいジュースはどうもなあ・・・と思いながらも、懐かしさともども一気に大きなコップ一杯飲み干した。

さて、話はここから始まる。
どうもこれが「アタリ」だったらしいのだ。
マカオで大当たり、といえばこれはギャンブルで大もうけしたようだが、我が家は夫婦そろって賭け事の才も甲斐性もない。
だからカジノに興味もない。
当たったのは、ワタクシの胃腸・・・エジプトで言う「ファラオの復讐」だ。
やれやれ。

散歩から戻って二時間ほど後、どうも胃と鳩尾の辺りに違和感がある。
む・・・?と胃腸薬とビオフェルミンなど飲んでしばし、違和感は明らかな不調に変わり、そしてチクチク刺すような痛みに変わっていった。

よもやまさか、何故どうして、しかしこれはイヤハヤまったく・・・かつては「鉄の胃腸」を誇ったはずの、この私が・・・うっそー、ヤダこんなの!

ああ、やれやれ。
こういうときにはドウシロコウシロなんていう記事を書いたこともあったっけなあ。
過去記事は以下参照。

【第3話】 ファラオの復讐 〜水(その2)〜
再び、ファラオの復讐について 【第61話】(前編
再び、ファラオの復讐について(其の二 対策編) 【第62話】

さて、上記記事では「対処は早めに」「すぐ医者を呼べ」などと偉そうに書いていたのだが、いざ我が身になるとどうもやっぱり億劫なものだ。
私の場合はもう既に何度となく似たような状況はくぐっているので、自家療法で何とか対応してしまった。
「話が違うじゃないか!」という怒りの声が飛びそうだが、私も状況次第ではドクターを呼ぼうと思ってはいたのだ、と一応申し上げておこう。
少なくとも、感染後数時間、症状が出て30分後に対処はした。
別に威張るつもりもないが、慣れた症状だけに初動は早かったのだ。
カイロあたりで泣き声のSOS電話をかけてくるのは、大概まる一日以上我慢を重ねた挙句、耐え切れなくなった人たちだ。
別に威張っているのではない。
誤解しないでほしい。
単に私はこういう状態に妙に慣れている、とそれだけの話だ。
それでこの「早めの対処」が功を奏したのか、回復も早かった。
ドクターも呼ばずにすんだ。

さて、初動でとりあえずやったのは「体内洗浄」だ。
オカシイナ・・・と思った段階で、ぬるま湯をたくさん飲んでは胃の中のものを無理矢理全部吐いてしまう。
尾篭な表現だが「上下マーライオン状態」とでも言おうか・・・ううむ。
状況にもよるので判断の難しいところだが、こういう場合は吐き気が来るまで待っていると、そのぶん体が参るのだ、と私は信じている。

こういうウィルス感染系の病気は何であれ似たようなものだと思うのだが、下手に我慢して耐える時間が長いほど、症状は悪化し回復は遅れる。

今回の私の場合、とにかくひたすら体内を洗った。
確かにウィルス性だったのは間違いなくて、結構な痛みが鳩尾から下をキリキリ絞りにくる。
ぬるま湯を飲むと、ちょっと間をおいてキリキリとサシコミがくる。
トイレで全部吐いて出すものを出す。

これを3〜4回やったら少し治まって、汗が出たりトイレで小水がでたりするようになる。消耗はしているものの峠は越えた感じになった。
ビオフェルミンを飲んで海老状に丸まって寝る。
海老姿勢の理由は・・・単にまだお腹が痛いからだ。
あのあとしばらくの間、海老を見るたび軽い憎しみを覚えたが。
憎しみのあまり、食べたりもした。ふん。

翌朝、どうも少し熱が出ている感じがする。
このまま熱がガンと上がってくるようならばドクターだ、と思っていたのだが、もうしばらく寝ていたら体が楽になってきた。

下痢や発熱はしんどいものなので、ついつい止瀉薬やら解熱剤やらをすぐ投入したくなるが、これは素人判断でやらないほうが良い。
上記の記事にも書いたが、下痢発熱は体内の抵抗軍(もとい抵抗力)が侵略軍(もといウィルス)と戦っている証。
下痢発熱という形で、侵略勢力は外に発散されている。
これを薬で止めるのは、逃げ出そうとする侵略勢力の出口を塞いでいるようなものだ。むしろ、ぬるま湯やビオフェルミンのような援軍を送りながら、多少苦しくてもとっとと出て行ってもらう逃げ道拡大に協力することにしている。

イラクだって、放っておけば早晩サダムが死ぬか消えるかして、自然体で状況が良くなったかもしれないのに、なまじアメリカが出張ってきたおかげで国情が泥沼化したではないか。
なんとなく、そんな感じ(?)

ついでに偏見混じりに言ってしまうと、抗生物質投与は敵味方入り乱れる戦場に核弾頭を打ち込むようなもの、だと思う。
敵は壊滅するが、味方も同様。
ウィルスからくる諸症状は治まるが、かわりに体が参る。
私の場合は、ということだが。
もちろん飲むべき時は当然あるので、ここはドクターの判断になる。

昼ごろにはかなり回復して、とりあえず「薬膳スープと粥と薬膳スイーツが食べたい」くらいの気分にはなってきた。
多少食欲が出てきたらこっちのものだよ、というわけでホテルをチェックアウトして街に出る。
アタリを引いたのが麺粥薬膳の国だったのは、不幸中の幸いだったと思う。
こういう体調で食べたいものが、街中いたるところで美味しそうな湯気を立てている。実際こういう広東薬膳の類は、本当にこういう状態の胃の腑に滲みる。
健康なときよりよほど旨く感じられたんだから、とりあえずそれでよしとするべきなのだろう。
そうにちがいない。

この翌日にはもうほとんど普通に食べていたのだが、本当はこういう無茶は体に良くない。まあ、体が食べたいというものを食べて、もういらないと思ったら食べるのをやめればよいので、この辺は体調と相談なのだが。

尚、以上はあくまでも、極私的自家療法であることをきちんと申し上げておく。
本来は自己判断でこういうことをしないほうがいいし、今回の症状は特段重篤なものでもなかったからこれですんだのだ。

一応、帰国後お医者さんに対処の内容を説明したら「それで正解」ということだったけれど、「でも、それはあくまでもアナタに自己判断できるだけの経験があるからです。普通の人は無理」という但し書きがついたことも付け加えておく。

だから、皆さんはむやみに真似をしないでください・・・。
まあ、一応なにかのご参考までに。

恨めしいのは、寒空の下で飲んだ一杯の冷たいサトウキビジュース・・・あの時ヘンなエジプトへの郷愁めいたものに駆られていなければ、あの晩はマカオ料理三昧の予定だったのだ。
これだけはしみじみと、口惜しく悲しい。

自業自得とはいえ・・・ああ、やれやれ。

自分でも書いているじゃないか。
「冷たいものの一気飲みはいけない」と。
「睡眠はきちんととりなさい」と。
「旅先での馬鹿喰い無茶喰いはいけません」と。

以上、深い自己反省とともに、改めて旅に出る皆さんに注意喚起する次第。
とほほ。




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この記事へのコメント
砂糖キビジュースって、日本から西のアジア〜中東ラインでポピューラーなので、みつけると何か飲みたくなりますよね。
但し、コップの清潔度はともかく、生系ジュースは目の前絞りたてが原則でしょう。
まあやっちゃったものは仕方ないですね。
それほどひどくなくて何よりでした。

それでもきっちり?キロ増量して帰ってこられるとは、鉄の胃袋は健在でしょう。
Posted by とも2 at 2008年02月07日 10:55
とも2さん

増量は2キロです。
実は、この事態がなかったらどうなっていたのか、想像するのが怖いのですよ・・・。
Posted by アリーマ at 2008年02月07日 15:25
ほにゃららと時間軸が微妙に前後して進行しているのが面白いなぁ〜
ところで、オットさんのマカオライフはどうなったんだろうか?
Posted by とも2 at 2008年02月09日 13:35
とも2さん

ええと、ちょっと割り振りと順番を間違えちゃって・・・はは。
オットはまったく無事でした。
ワタシが寝ている間、元気に一人出かけていきました。
Posted by アリーマ at 2008年02月09日 18:03

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