一応反省とともに自覚はしているのである。
ごめんなさい。
今年もこんな調子でやっていくことになりそうな予感はするものの、細々とでも継続予定なので、たまにお付き合いいただければ何より幸い。
よろしくお願いします。
だから、というのも変だが、外れついでに年末年始に出かけた香港・マカオの旅行雑感など。
他人の物見遊山の話など、本来面白くもなんともないものだとは思うけれど、たまにエジプトなどを思うこともあったので「雑記」ということで書いておこうと思う。
おかしなもので、どこかで何か変わった物や事態に遭遇すると、何故かカイロをつい思い浮かべて比較対照している自分がいる。
東京や横浜はその次だ。
一体何がこの身に染み付いたのかわからないが、反射的にそうなる。
今回しみじみと実感した。
食べ物関係に関心ある向きは、別ブログ御参照のこと。
旅行というよりも、単に場所を変えて中華を喰い散らして歩いただけなので、喰い意地至上主義な日常生活の延長。
中華圏に関しては果てしなく無知なので、本当に口を半分あけてのどやかに「ありゃ、こんなところにあんなもんが」と思ってオシマイ。
なんら深い洞察も知見もない。
あるはずもないが。
さて、以前香港の空港と言えば、密集したビルの群れに突っ込んでいく怖さで悪名高かった。
20年ほど前に行ったとき、確かにこりゃあ怖いと思ったものだ。
通り過ぎるビルの中でどこかの家族が食べてる夕食のおかずがわかるような距離感で、なんと飛行機が滑走路に入るのだ。
あの時見えたような気がした鶏のローストは、たぶん錯覚なのだと思うけれど。
1998年に新空港になったそうで、今回はごく普通の空港だった。
昼間でもあって、羽田に着くのと感覚的に大差ない。
しかし、街に向かうバスが走り始めて街が近づくにつれて、なにやら堪らない耐えられないようなムズ痒さが体を這い回り始めた。
遠景に見える林立するビル群が、なんともいえずキモチワルイのである。
生理的な拒否感、とでもいうのだろうか。
ナンダコレは、と不思議な気分になる。
ごちゃごちゃ混んだ街といえば、カイロにしてもイスタンブルにしても、生まれ育った東京にしても似たようなものだ。
「ああ、都会だな」という印象以外のものは感じない。
20年前の香港でもそんなものだった。
カイロの街に20年前に初めて入ったときなど、奇妙に心安らぐのんびりムードまで感じたほどだし、ソウルに行けば毎度説明のつかない懐かしさまで感じる。
遠景に街を眺めて「キモチワルイよう」などと思ったのは、ひょっとしたら初めてかもしれない。
具体的にナニが?、とキモチ悪さを堪えて眺めながら考えた。
どうもビルがひょろひょろと細長くて頼りないかららしい。
それが、痩せた針葉樹林のように密生している。
ううう。
例えばカイロにもボロいビルは結構建っていて、実際地震があると簡単に崩れて瓦礫の山になったりするものも多い。
多い、などと簡単に書くと叱られそうだが、現地で建てる過程を見ていると「さもありなん」と思う。耐震構造云々など明らかに観念外で、一部の高級高層建築を除けばとりあえず下から階を積んでいって、ある程度できたら住み始めてしまうパターンに見える。
しかし、こういった「古くてぼろいビル」の場合、高さもたかが知れているのである。高くたって20階がいいところだ。
高所恐怖症傾向がある私には、十分すぎるほど高くてツライが、まあまあなんとか耐えられなくもない。
そこに住め、とか、窓から半身を乗り出して両手を振ってみろ、とか言われさえしなければ。
香港のビルも多分カイロと似たような高さに違いないのだが、一体どうしてこうムズカユイのか・・・とさらに堪えて眺めていてわかった。
底面積が圧倒的に小さいのだ。
どう見ても5階建てがせいぜいではないか、と見えるビルが20階建てくらいになっているから、ものすごく心許ない感じになる。
ああ、コワイ。
話がずれるが、最近通っている鍼灸の治療院は、横浜中華街のとある怪しげなビルの中にある。年が明けて「香港とは怖いところである」という話の例で、そこの先生に「このビル(6階建て)が20階建てになったようなのが、うじゃうじゃ並んでいるんです」といったら、先生は身を震わせて「考えたくもないなあ」といっていた。
そんなところを想像すると、私もつい脊椎の末端部がキュッと収縮するような気分になる。
怖くてどうもカメラを向ける気にもならなかったが、まあ例えばこんな感じだ。

前が広々した競馬場だったので
比較的心穏やかに見ていられる風景ではある。
でも、斜面地にニョキニョキ建つ
細長いビルの影がやっぱり怖い。

と、思わず叫んでから
慌ててシャッターを切った。
ちょっと遅かったが・・・
このビルの底部にご注目を。
このビル、下に普通の平たい建物があって、その上に乗っかった構造なのだが・・・一体どういう理由で「つながり部分」を細くシェイプしなければいけないのかっ?!
嗚呼、よくわからない・・・。

横に回ると映画セットの書割のように
不気味に薄っぺらい建物。
しかも斜面地に建っている。
間違ってもこんなビルに入居したくない。
このままではわかりにくい。
「なんで?どこが?」と思ったら、クリックして写真を拡大してみてください。
20年前の香港で何も感じなかったのは、上に目をやる気持ちの余裕がなかったからだろうか?
それとも私自身の生理的感覚が、20年の間に変わってしまったのか?
ソウルを見てもカイロを見ても他のどこの街を見ても、20年前と生理的に感じるものが大きく変化した、ということはないのだけれどもなあ。
香港自体がニョッキリと、全体に上に向かって伸びたのかもしれない。
成長する剣山のイメージ・・・しかも座りが悪くて倒れそうな・・・と考えて、先端恐怖症の傾向もある私はどうも具合が悪くなってくる。
まったく「摩天楼」とはよく言ったものだ。
ゴジラやガメラやウルトラマンが出てきて暴れられたのは、昭和中期の東京だったからだよねえ、混んでるようでまだスペースがあったねえ・・・などなど、どうでもいいことを考えるうちに、街に入って少し落ち着く。
遠景は怖いが、中に入ってしまえば単なる都会の雑踏だ。
混雑はキライだが、少なくとも生理的な恐怖感は消えてほっとした。
「とりあえず、むやみに上を見ないこと」と自分に言い聞かせながら、バスを降りてホテルに入る。
食べるもののことだけ考えていれば、とりあえず気がまぎれるので(?)、街に出てガツガツといきなり大食をした。