彼女はこのクリスマスに「酒にあうケーキを!」という私の勝手な要望に見事こたえてくださった、いわば恩人である。
だから彼女のために、と言うと相当恩着せがましいが、まあなんとなく私と夫の旅支度の話でもして、今年最後の記事にしようかと思う。
長い話が始まる前に一応申し上げておくならば、彼女が個人的に各種相談に応じてくれる「キッチン山田」のスイーツはスバラシイ。
ケーキやお菓子のご用命は、是非どうぞ。
さて私の旅支度の話。
一応どうも英語ではラチあかんような気がする国に行くときは、
現地語を一日中聞いて耳だけ慣らすことを二週間ばかりする。
旅行会話の超基本形だけを繰り返すテープを買ってきて、ベッドの中でラジカセのスイッチを押し、歯を磨きながら、シャワーを浴びながら、ご飯食べながら、A点からB点に移動しながら・・・と、テープが伸びきるまで聞き続ける。
一生懸命勉強しなくていい。
とりあえず聞き流しておいて、気になったところは暇なときにテキストを眺めたりすればよいのである。
もちろん流暢な会話など望めないのだが、少なくとも駅や空港の構内放送は聞こえるようになるし、自分の要求を口に出した結果、相手の返事する内容に対して、ワカランまでも「わからないからわかりやすくいってくれ」と頼んで同情を買うくらいにはなる。
その程度のナントカなり方、ではあるが、まあやらないよりはマシだ。
たぶんそうなのだ、と信じたい。
低レベルだと笑うならば笑ってクレ・・・。
尚、そういうことをしていた時代からすると、いまはiPodとかいうものができて情勢が変わったらしいが、私と夫がそういう旅行をしていたころは、まだまだ「ラジカセ」が健在だったのだ。
ちなみに夫は「財務・経理・内務担当班」なので「語学・手配・渉外担当班」の行動にはタッチしないことになっている、と抜かす・・・むっとくる、が、この辺のパワーバランスは日本の省庁と大差はなく、結局英語以外の各国語は私に振られておしまいなのである。
でも、今回は香港・マカオだ。
「甘いっ!」といわれりゃあそれまでだが、とりあえずのサバイバルはイギリス旧植民地(マカオはポルトガルだが)だけに英語でなんとかなりそうだ。
私も夫も英語はどうにかなる。
別に自慢でもなんでもなく、各々のナリワイにかかわるものだからだ。
ちなみにさっきの話に戻すと、我が家でフル装備スタンバイしていたのは
「ベトナム語」の教材だった。
しかーーーし!
なんと残念なことに、思いついたのが12月はじめごろ。
ああでもないこうでもない、と言っているうちに、結局フライトもホテルも
「取れることは取れるが、超高額」という事態に陥っていたのだった。
特にホテルがどうにもならない。
高級ホテルにはこだわりません、と友人のトラベル・エージェントに言ったら
「ホーチミンのホテル状況は、昔のカイロのようなものだと思いなさい」と。
彼女はカイロ時代からの友人なのである。
そう、こういうときにトラベルエージェント経由で泣きついてくる個人観光客など、現地のソコソコ高級なホテルにすればネギを背負って鍋までぶらさげた鴨、なのであったよな、嗚呼。
これって「業」というものだろうか、嗚呼。
そして「こういう土地」の高級でないお手軽ホテルの場合は、自分の目で見て確認せずに泊まるなど暴挙だ。
ホーチミンに行ったことがないので、私の知っていた時代のカイロとどの程度違うのかわからないが、土地勘のない場所で家なき子になってウロウロするエネルギーを他に回したい場合、そういうことになる。
ああ、ご旅行は計画的に・・だねえ、と諦めた次第。
そこで次の候補に上がったのが、台湾、シンガポール、バンコク・・・といったところだが、香港、ときたところで「あああああああぁぁぁ、行きたぃぃぃぃ!!」となった。
香港と言えばマカオだからだ。
マカオと言えば最近読んでどっぷりとはまった、バリー・アイスラーのジョン・レインシリーズに出ていたではないかいな。
(ちなみにジョン・レインとは、日米ハーフでベトナム帰りの、主にCIAをクライアントとする殺し屋。設定だけ聞くとアホらしくてたまらないが、読めば必ずはまる。A.J.クィネルにはまった経験のあるヒトは必読ですぜ。できれば、一冊目から。東京を舞台に日本の政治に暗躍する巨悪に立ち向かいます。あ、そりゃあアホ臭い、とかいわずに、まあ読んでみてください)

しかもこの界隈ならば、二週間集中洗脳術のようなことをせんでも、どうにか英語でイケそうであろう。
「イケそう」というのは、即ち「ウマイモノの飲み食いに困らなさそう」ということなのだが。
ウマイモノというからには、やはりそれなりの準備を・・・と思えば、そういうことも特になく、「誰かなんかあったら教えてね」といって歩く程度だ。
最近信頼度急上昇の「地球の歩き方」だけ買ってはある。
さて、昨夜のこと。
夫、突然いわく
「旅行に持っていく本はもう用意できたの?」
私が夫の海外出張にあたって、妻らしく準備をするのは「本」なのだ。
「今回は本はいらないでしょ」
「いや、どうせキミのことだから、部屋で寝ながら本ばっかり読んでいるんじゃないかなあ、と・・・」
イヤミのつもりだったらしい。
だから、ちょいと極端ではあるが、我々夫婦の旅行形態を思い出させてあげるために、敢えて言ってみた。
「本ばっかり読んでグダグダ暇暇に寝てばっかりいたって、香港でもマカオでもお腹が空いて外に出れば、ホテルの向こう三軒両隣には香港やマカオの麺屋・飯屋・粥屋なんかがあるんだから環境は十分違うでしょ!」
香港・マカオはそういうところらしいと聞いて、そういうホテルを選定済みでもある。ホテル探しが面倒くさいので、日本から手配可能な安ホテルで手を打つあたり、よくも悪しくも年を喰った感じはするが。
尚、私は商用でない旅行の場合は、ホテルは清潔に寝られればどこでもいい。
ホテルライフにほとんど個人的関心のない元ホテルマンなのだ。
ついでに言えば、観光もどうだっていい。
観光や名所旧跡にほとんど個人的関心のない元観光ガイドで、元観光業関係者なのだ。嗚呼。
実はひっそりと情報は集めてあるし、なんかうまいもんを食べに行くもんね♪と、ルンルンしているのだが、その辺の計画に関しては「財務・経理・内務担当班」の関知する所ではない。
ふん。
高級店に行くつもりもないので、一週間くらいならば多少の着替えで済む。
まあ、確かにあとは本だけだな。
読んでなくて読みたい本なんぞ、部屋にナンボでも積み上げてあるから、別に悩むことではないのだが。
だがそれをあからさまに言うと「書籍代が家計にのしかかる云々かんぬん・・・」が始まるので、賢く口をつぐんでいる私なのではある。
夫の分は、ジョン・レインで十分であろう。
忘れてはならない重要事項としては「猫の預け先」だが、この数年毎年お世話になっているかかりつけの獣医さんにお願い済み。
ゴメンね、おまえたち。ヨイコにしていておくれ・・・。
あとは手近にあるカバンなどに、着替えと本などを適宜突っ込んで、パスポートと航空券などを確認すればよい(自分の荷物とパスポート以外は「財務・経理・内務担当班」の仕事ではある)。
と、いうことで、単に長い独り言でありんした。
行って参ります。