五月になると、何故かギリシャを思い出す。
明るい日差しと乾いた空気に、ジャスミンの香りなどが混じると、何故か思い出す。
ふと懐かしい香りに顔を上げると、橘の花が満開だったりする。
日本の初夏の空気は、一瞬だけ優しく甘い。
この後に来るのは梅雨だ・・・などと思わないで、せいぜいこの瞬間を楽しむことにしている。
ギリシャが一番ステキなのは、やはり五月頃だと思う。
夏も盛りになると、日差しが強くなりすぎてしまうのだ。
春が来て、郊外に野花が咲き乱れる頃のギリシャは本当に美しい。
おもいっきり海で遊べる夏も楽しいが、初夏のギリシャはまた別世界だ。
明るいけれど、まだ柔らかな日差し。
空気は爽やかで、オレンジの花が咲く。
初めてアテネに行っのがちょうど初夏の頃で、街中でオレンジの甘い香りがしたのを
今でも覚えている。
ああ、なんと美しい地中海の都よ・・・と、うっとりしたものだ。
あのオレンジは、きれいな実がなるのに食べられないということで、実がなる季節には
よく指をくわえて眺めていた。
ちなみに、初めてカイロに行ったのは二月の末だだったが、ひなた臭い埃の匂いがした。
で、結局そのイメージは十年変わらなかった。
そりゃあ、アテネ辺りでも十分うっとり出来るわけだ。
気の毒な奴だ、と思っていただくと良いのかもしれない。
実はアテネの郊外に住居があった。
休暇用のアパートメントですの、とか言ってみたいところだが、単なるオットの
単身用住居。
カイロ住まいの時代、オットはアテネ支店も面倒見ていたので、カイロと行ったり来たり
していたのだ。
最初はアテネの中心部近くの「ネオ・プシフィコ」というところに住んでいたが、
どうせなら海の近くに住みたい!と珍しくオットが強く主張して、街まで車で30分程の
「ヴーリャグメリ」という地域に引っ越した。
ここがなんとビーチまで徒歩10分、ゴルフコースまで車で10分という、
なんともステキなロケーションだったのである
(ビーチに面したエリアも当然あるが、こっちは「高級リゾート地区」で予算外だった。
とほほ)。
郊外なので、空も家の周辺も広々として気持ちよかった。
喧騒と雑踏のカイロ住まいだったものだから、たまにこちらに来るとしみじみほっとした
ものだ。
ついでに一応EU圏内でヨーロッパであるからして、近所の高級スーパーマーケットには
壁一面にワインやら洋酒やらがゾロゾロ並んでいる。
夫婦で巨大カート二台分、アホのように酒を買いまくったのも、馬鹿馬鹿しいが
懐かしい思い出だ。
あの時二人は、お菓子の家に迷い込んだヘンゼルとグレーテルよろしく(?)
ひゃあひゃあ、きゃっきゃっ、と異様なハイテンションに突入したのだった。
嗚呼、馬鹿だなあ。
でも当時のカイロでは、そのくらい「まともなワイン」が貴重品だったのだ。
どうでもいい「エジプト産」はあったが、本当にどうでもいい代物だった(過去記事参照)。
今頃はそろそろ暑くなってきているだろうが、四月末から五月にかけてのギリシャは
本当に素敵なので、ビーチで遊ぼうなどということでなければ、旅行にもこのシーズンを
オススメしたい。
尚、現在住んでいる横浜には、数軒ギリシャ料理のレストランがある。
港ヨコハマの時代があった、その名残だ。
スパルタ
最寄駅:関内 / 伊勢佐木長者町
料理:ギリシャ料理
採点:★★★★☆
一人当たりの支払額(税込み):3,000円〜5,000円
用途:夕食
先日、ギリシャが懐かしくなって、こちらの店にオットといってきた。
詳しい話は別のブログに上げるので、そちらの記事をご参照いただきたいが、
なかなか素敵なお店だった。
ギリシャ料理自体は、正直言って「中東系」としてはハイレベルと言い難いのだが
懐かしさでたまに食べたくなる。
ここの店など、ひょっとしたら現地より旨いかもしれない・・・などとイケナイことを
考えながら、懐かしく美味しくいただいた。
中東系、といわれると不思議かもしれないが、料理のスタイルや内容はかなり似ている。
オリーブオイルの量が多いことと、素材として豚肉もOKなところは大きな違いだが、
イタリアなど南ヨーロッパよりは中東に傾いた料理だと思う。
オリーブオイルの量は南欧や中東はどこでも多いだろうって・・・ギリシャは桁が違うのだ。
代表的な前菜にこんなものがある。
ギリシャで「ドルマデス」というのだが、
まったく同じようなものがトルコで「ドルマ」
アラブ圏で「マハシ」という名前で出てくる。
名前からすると、トルコ料理から来たものだろうか。
以上、五月晴れにふと思い出して、ギリシャの話など。
頭の中まで五月晴れらしくて、散漫でスミマセン。