
と、世間を沸かせ
結局のところ、突然の冷え込みに
ずるずると遅れた桜が、
ようやくきれいに咲きそろい始めた。

この時期こんな提灯が出て
夜桜が美しい。
もちろん昼間も美しい。
なんとなく「ああ、日本だなあ」と嬉しい。

確かにこうして近くでよくよく見ると、
一重咲きの薔薇に形が似ていなくもない。
近くによっても、やはり綺麗な花だ。
しかし、気候の変調のせいだか
なんだか葉桜になるのが早そうだ。
梅から桜、そして新緑の季節にかけては、本当に日本にいるのが楽しい。
海外在住の方には申し訳ないのだが、一応私も十年間余りはこの時期のホームシックに
耐えたのだし、その先には元中東在住者を弱らせる「梅雨」という季節がやってくるので、
どうぞお許しいただきたい。
ところで、桜の花びらを塩漬けにした「桜茶」は、二日酔いに効く。
花びらよりも樹皮に香りと薬効があって、咳止めなどにもよいそうだ。
そして、桜の花粉にはエフェドリンという物質が含まれていて、これが気持ちを
高揚させるのだとか。
道理で花見酒が効くわけだ、と、妙に納得してみたりする。
春爛漫の桜の下に立つと、確かに少し力が湧いてくる。
今年はこの力を、飲んだくれてカラオケをがなり倒すようなこと以外の用途に使おうな、
と、ひっそり決意をする私なのである。