売れているそうだ。
詳しくは以下参照。
京大と早大が共同開発 アカデミックビール「ホワイトナイル」
以前から、早稲田大学の吉村作治教授が、キリンビールと共同で研究を進めている話は
あったのだが(「キリンビール大学」の「古代エジプトビール研究所」は面白いサイトだ)、
京大農学部が原料となるエンマー小麦なる古代種を提供して、共同開発した結果、
販売が始まったもの。
両大学の生協などで販売していたが、この売れ行きがけっこう順調で発売半年で4万本売れたとやら。
330ml入りの小瓶が一本450円と、相当強気な値段だが、話題性の勝利ということだろうか。
製造元は黄桜酒造。
ただし、現状はまだエンマー小麦はまだ完全に再現に至らず、今のところは近い種類の小麦を使ったもののみの販売。
本格的な「古代種」を使ったもののお目見えは、今年の夏以降になるそうだ。
さて、現代のエジプトに至ると、現地で一番よく飲まれているビールは「ステラ・ローカル」という。
ビールの話は、過去の記事にも書いたのだが、はっきり言って「5000年変わらぬ味わいって、こんなもんか」と思えるような代物だ。
ボトルによって当たり外れまである。
けれど、特に熱暑の下で「当たり」を引くと、これは実に嬉しいものなのではあった。
最近のラインナップはかなり充実してきて、ハイネケン・グループのもとで新ブランドが出たり、旧ブランドもかなり品質向上したり、ついでに場所によっては強烈に値段が吊り上ったりしているという話だ。
5000年の歴史が、この5年で力強い変化を見せている。
それで国が潤うのならば、よいことだ。
などなどと漠然と思っていたところ、先日東京都内の某エジプト料理店にて、
その『ホワイトナイル』がメニューに出ているのを発見。
ものは試しで飲んでみた。店では小瓶が850円。ご参考までに。

この微妙な酸っぱさは、
確かにドイツ辺りで小麦を使って作る
「ヴァイツェン」にどこかしら似ているが・・・
しかし、この妙に懐かしい酸っぱさは
なんだかどうも・・・
・・・カイロでよく飲んだ『ステラ・ローカル』なのだ、要するに・・・。
ああ、懐かしい。
懐かしいし、必死に研究開発した皆さんには誠に申し訳ないが、私は結局二杯目では
「普通の生ビール下さい」
などと、実に無粋なことを言っていたのだった。
きっと私の舌も根性も曲がっているに違いない。
でも、夏に本格的に「エンマー小麦製の古代ビール」が出たら、きっとまた文句言いながら
飲むのだろうな、と思う。
少なくとも、古代エジプトのビールを現代に再現するプロジェクトにはロマンを感じるし、
しかもそれが産学連携の成果として、きちんと利益まで上げているならば立派なことだ。
そういうことには、やはりきちんと敬意を表さないといけない。
それに、ステラ・ローカルには、ずいぶんお世話になったんだしね・・・などと言ったら、
関係者に余計申し訳ないだろうか?
でも、あの「不味いビールの味」が、最近たまらなく懐かしくなることがある。
「たまにはエジプトに里帰りせよ」という、ファラオのお告げ・・・かもしれない・・・。

ビールでいただきます!
- 著:大田垣晴子
- 出版社:ソフトバンククリエイティブ
- 定価:1050円
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古代エジプトのビールは1ページしか出てこないが、こんな本もあり。
詳しくはこちらを。