2006年09月02日

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再び、ファラオの復讐について 【第61話】(後編)

(前編のつづき)

●自己管理について

気がついたら二ヶ月も連載をサボっていた私に、自己管理のナンタルヤを言われるなど、
読者の皆様にしてみれば噴飯ものであろうが、耐えてこらえて聞いていただきたい。

結局のところ、エジプトなど中東に限れば、旅行中に体調を崩す原因は以下の三つ。

1.寝不足
2.過労
3.暴飲暴食

単純な話だ。
以下、解説。


1.寝不足
大人が一週間も海外に出ようと思ったら、仕事を休むことになる。
忙殺されて寝不足になっているのが普通だろう、と思う。

専業主婦は関係ない?!
とんでもない、主婦だって毎日の仕事プラス留守宅の手配などがあるのだ。
買い物、お土産、挨拶などなど、普段の仕事に乗っかってくる仕事で忙しいのだ。

経験的に、ツアーで最初にダウンするのは若い独身者が多い。
でもこれは「最近の若いもんはだらしない」からでは必ずしもなくて、
一人で全部抱え込んでいるからではないか、と思うことがある。

そういうわけで「疲労との戦い」は、実は旅立つ前からはじまっているのだ。

出発前夜は荷造りに追われ、あるいは興奮してほとんど寝つかれず、挙句に朝が極端に早かったりする。

飛行機の中で寝て行けばいい?
ここでとれるのはあくまで「仮眠」であって、しっかり横になって眠れるわけではない。
疲れは、取れるどころか増しているのが普通だ。


2.過労
1と同じ話だが、とにかく「休暇だから眠れる」という信仰に近い感覚をもって、
皆様それぞれ、最寄の国際空港に向かう。

特に旅程が決まってなければ、行った先の最初の宿から一歩も出ないで、ぐっすり眠るというのもアリだろう。
贅沢だけど、場合によってはありうると思う。
私自身も「休暇旅行=場所を変えた健康的熟睡環境での生活」だった時期がある。

だって「バケーション」だ「バカンス」というのは、本来「空にする」という言葉が
元になっているのだ。まあ、空っぽになる手段は人それぞれ、ということだけれど。

さて、そういうワガママな人種はおいといて、旅程の決まったパッケージツアーだと、
添乗員さんの申し述べた「明日の旅程」は、絶対なのである。

「それでは皆様、明日の行程をご説明申し上げます。

モーニングコール 2時半
お荷物を廊下に3時までに出していただきまして、ご朝食。
チェックアウトを済ませていただいて、ロビー集合は3時半、出発4時と・・・」

カイロから、ルクソール、アスワンなどの上エジプト方面に移動するときなど、
これが普通だ。

本当は、旅程のゆったりした、詰め込み型でないツアーで行くのが理想的だけれど、
なかなかそうもいかない。
ほんの5日か6日の間に、強行軍でエジプトの名所旧跡を訪ねる旅が始まる。

そして、疲労はますます重なって行くのである。


3.暴飲某食
かくのごとく、パンチドランカー状態の老若男女が遭遇するのが、まずは「飲みもの」、
次に「食べもの」だ。
そして実は、一番ダメージが大きいのが「飲みもの」なのである。

でもまず、食べものについて。

エジプトに限ると、食事はビュッフェが中心になる。
地方では、朝、昼、夜と続くこともある。

イヤミに聞こえると悲しいのだけれど、日本人の行動をみていて「やれやれ」とおもうのが、ビュッフェを皆でいただくときだ。

日本では「バイキング」、またはもっと直裁に「食べ放題」と訳されている。
そこに歪みが生まれる。

私も実は深層意識の中ではそうなのだけど
「ビュッフェ=バイキング=食べ放題」
となって、とにかく片っ端からイッテしまえ・・・となりがちなのだ。

しかし、エジプト現地のビュッフェの料理というものは、例え朝食でもけっこう脂を
使っている。
ランチはビュッフェか定食かわからないけど、きっちり食べる。
そして、ディナーの豪華なビュッフェに突入。

ここで考えてみてほしい。
あなたは、日本にいるときに、一日三食お腹一杯食べていますか?

しかも、中東や欧米に関しては、一見さっぱり見えても相当な油脂類が使われている。
ホテル勤務当時、某高級ホテルの清潔にして整然としたキッチンで「ひぇぇ〜!」と
たまげるほどの油脂が投入される現場を、目の当たりにしてきたから間違いない。

それだけ食べれば、ただでさえ疲れきった睡眠不足の体に「胃もたれ」「消化不良」がついてくるのは、当然のことではなかろうか?

このようなビュッフェでの過食を避けるには、時間さえ許されるなら、いい方法がある。
レストランに着いたらまず、どんな料理が出ているのか、まず一回り見て歩くのだ。
そして、何をどう食べようか考える。

こうしているうちに、脊髄反射的に熱く燃え上がった「行け、食べ放題だ!!」という一時的興奮状態が、少しはおさまる。そうです、皆さん、冷静に・・・。

見慣れない料理が多い場合は、あまり量をとり過ぎないこと。
食べてみて、もっと食べてみたいと思ったらまた取りに行けばよいのだ。

そうして往復するうちに、意識は「きちんと食べよう」という方向に向くものだ。
そのほうが楽しいし、実は格好良くもある。

尚、これはマナー違反だけれど、取ってきたものが口にあわなかったり、どうにも
食べきれないな、と思ったとき、潔く残すのが明日の自分のためになる。
海外旅行の場合、どうしても日常のバランス感覚を失いがちだし、
食べたらイメージが違っていた、ということも多い。

本来ビュッフェで、取ってきたものの食べ残しというのは、あまり格好のよいものではないのだが、無理をして消化不良を起こすくらいならきっぱり残すべし。

ただし、時間が限られるランチなどの場合は、この限りではない。
状況に合わせながらも「腹八分目」を必ず心の隅におかれたい。


●飲みものについて。

現地で暮らしていれば、日本より時期によっては快適であろうとも、初めて来た旅行者にとっては慣れない環境だ。

そこで暑いと、日本人の場合、特に目だってカチンコチンに冷えたものを飲む傾向がある。

氷がいけない、というのではない。
場合によってはそういうケースもあろうが、氷よりもっといけないのは、
日本人の「カチンコチンヒヤヒヤ執着癖」とでもいうべき習性だ。

あなたたち、お爺さんやお婆さんに言われませんでしたか?
夏場は暑い時こそ熱いお茶を飲み・・・あーーーそこのおじいさんっ!
凍ったミネラルウォーターのイッキ飲みは、やーめーーーーてーーーーー!!!

日本にいるときも、暑い時に冷たいものばかり飲んでいれば胃腸が変になる。

それが、エジプトのように、エキセントリックなほど異国情緒あふれる土地で、
過労と寝不足を抱えて慣れないものを食べているのだ。

挙句に、寝不足、過労、過食・・・ときて、ヘタヘタに弱っている胃腸の上に、
冷たい飲みものをドバドバぶっかけたら、弱った体が余計にへたるのは理の当然。

そうおもいませんか?

ただしエジプトでは、特に暑い時期、水分補給は必須のものだ。

だから、常温のものを常備して、チビチビ飲むのが正解。
冷たいものしかなければ、噛むようにゆっくり飲んでほしい。
それだけで、相当にファラオさまはお喜びくださるのだ。
本当です。

そして、一度口をつけたボトルの賞味期限は一日。
バクテリアが繁殖するからだ。
夜余ったら、髪を洗うときに頭からドバドバかけてリンスするとか、
歯磨きや洗眼に使うとか、あるいは捨ててしまうとか、手段は色々だが、
「その日のうちの使いきり」をオススメする。

最後に、もう一度、大きな声で繰り返したい!

「ビュッフェの食べ過ぎに注意!」
「冷たい水のいっき飲みはやめよう!」

(この項、次回に続く)



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この記事へのコメント
何を食べたからいけないとか言う問題ではなくて、要は「食べすぎ」が問題かも・・・と、私も常々思っていました。
エジプトではビュッフェの回数が多いので、どうしても食べすぎてしまうんですよね。旅行中は特にあれもこれも食べてみたくなるのが心理というものですし。
生のお野菜は危険度が高いので遠慮して頂いてましたが、本当は美味しいしので召し上がっていただきたいし、自分も食べたいんだけどやはり怖くてパスしたりして、食事に関してストレスの高い国でした。
Posted by mona at 2006年09月02日 05:01
monaさん
どうも添乗員さんのマニュアルに「生野菜は絶対に食べさせないこと!」みたいなことが書いてあるみたいですよね。たしかに、ローカルレストランの一部では衛生管理が甘いのは事実で、こういうところは要注意だし、生野菜自体消化がよくないから、旅行中に山ほど食べるものじゃないとも思いますよ。だから、その発想を否定はしません。
要するに「まず体調管理」つまり、ムダに胃腸を弱らせる過食と、キンキンに冷えたミネラルウォーターのがぶ飲みに注意するだけで、ダウンする率は劇的に変わる、という「体験的事実」のオハナシです。
添乗員さんもいろんな方がいるけれど、長年みてきて、派遣する会社が「ビュッフェのマナー」くらい教えておいてほしいなあ、とはよく思いました。
お客さんは添乗員さんの行動をなぞるので。
でも、人それぞれなので、当るときにはやっぱり当ります。当っちゃったときの対処が、次回に続きます・・・。
Posted by アリーマ at 2006年09月02日 11:30

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