古代エジプトの植物と言えば、パピルス(和名:カミガヤツリ)とロータス(蓮)だ。パピルスは下エジプトを、ロータスは上エジプトをそれぞれ象徴する花で、この二つの花を象った王冠を、頭上に重ねて戴くことが、かつてのファラオの象徴的な姿だった。
カイロ考古学博物館の庭の池には、中央にパピルスが、それを囲んで蓮が植えられている(写真はOsiris Expressより借用)。ただし、この場合のロータス(lotus)は、日本でいう「蓮」はちょっと種類が違い、
むしろ「睡蓮(waterlily)」に近いものだ。
モネの連作でも知られている花だ。
西と東で品種が違う、ということである。
日本でいう蓮は「はちす」とも呼ばれる。
これは姿の通り、花の咲きおわりの姿が「蜂の巣」に似ているところから来ている。
根はいわゆる「レンコン(蓮根)」で食用となり、実は漢方で珍重されていて、体の熱をとり、心臓や腎臓、夏バテに効く、とされている。
別のブログでご紹介した「白キクラゲと蓮の実のデザート」などは、まさに薬膳なのだ。
さて、花の写真は三年前に伊豆で撮影したもの。
それまで睡蓮しかみたことがなかったのだが、初めてこの頼もしい大輪の蓮をみて、
平家物語で戦死した夫、通盛の後を追って海に身を投げた小宰相の
「あかで別れし妹背の仲、ふたたびかならず同じ蓮に迎へ給へ」
という節の意味がわかった。
あれをみるまで「二人のったら沈んじゃうんじゃないか」と、妙に頼りない気分だったのだ。
美しくも頼もしい、夏の花だ。
近所のどこにでもある、というわけでないのが寂しいのだけれど。