先日ご紹介した、
常見藤代さんの写真展にお邪魔してきた。
紅海沿岸のハルガダあたりからナイル川にかけて広がる、東方砂漠で遊牧生活を送る女性の記録だ。
私自身は写真はシロウト以下なので、非常に月並みなことしか言えないが、裸足で岩山を駆け上がる男性の図(「靴など履くから、足の裏が弱くなる」と言うような一言が、ストレートに伝わる一景)、婚礼の写真、駱駝たちと戯れる女性の図(この女性が単独で放牧生活を送っている、その生活を追っている)など、遠い砂漠の世界に思わずいざなわれていくような気持ちがした。
ステキな写真ばかりだ。
それ以上に、記録として、国際的にも得難いものだ。
消えゆく遊牧民の生活文化。
現実的には観光客が相手の仕事が主体となって、定住生活に変わっていく一族の男たち。
その中で、ひとり女性が七頭のらくだを引いて遊牧に出てゆく。
以前から、写真の語るものの大きさ、重要さを痛感してきているのだが、写真の隅々に見受けられる、衣食住などのディテールを実に興味深く見た。
お忙しい中での立ち話ではあったが、色々とお話も伺えた。
この女性の部族は一帯に千人ほどいるのだが、お互いにどこの誰かを知っていること。
女性は(一軒お婆さんのようだが、58歳との由)夫が足を悪くして定住生活を余儀なくされており、9人の子供がいること。
部族の連帯に守られて、何の危険もなく砂漠の遊牧生活をしていること。
これは随分前に別のところで聞いた話だが、いわゆるベドウィンの部族としての連帯は確かに非常に強固なのだそうだ。
たとえば、通常は「どこからきた?」と出身地を尋ねる都市のエジプト人と違い、
「おまえはどこの部族だ?」とたずねるという。
そのときフィールドワーク中だった某氏は、とっさに「日本の姓だって部族名みたいなもんだわい」と「アナ・アル-ヤマーダ(仮名)」と答えられたとか
(アナは「私」、アルは定冠詞で、部族名などの一族名の前に付ける)。
アートには疎い私ではあるが、砂漠の風景はやはり心を鎮めてくれる思いがする。
活き活きと生活する人々の、姿や表情は、さすが生活をともにした人の撮ったものだ。
写真一杯に愛情と共感があふれて、気持ちが和む。
乾いた気持ちに潤いを求める方も、是非どうぞ。
常見藤代写真展
「Becoming the Legend」
(砂漠の荒野に生きる)
◆日時:2006年8月2日(水)〜8月11日(金)
10:30~19:00(最終日15:00まで)
◆会場:コニカミノルタプラザ・ギャラリーC(新宿駅)
TEL:03-3225-5001
(地図)→東口を出てすぐの、タカノのビル内です
http://konicaminolta.jp/about/plaza/access/access.html
末筆ながら、お忙しい中色々お話いただいた常見さん、どうもありがとうございました。
Posted by arimaburabura at 16:41│
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