カンダといっても、アフガニスタンのカンダハルとは程遠い、いわゆる東京の神田。
以前から「イキタイイキタイイキタイ」と思い続けていた『龍水楼』へ突撃である。
何でそこまで思いつめなきゃいけなかったかって、
1.神田界隈に18時までに、4名以上の人数を集めるのが意外と難しい。
1.しかも、全員が喜んで羊肉(それもハラールでない)を食べられなければいけない(今回の場合、約一名「ワニ肉よりはトレンドなんだろうね」と微妙な抵抗路線を示したものもおったが、無視された)。
1.鍋物なので、お酌だ取り分けだ、ああイエイエお先にどうぞ的な気配り無用にて、即時戦闘体制突入となっても禍根の残らぬ顔ぶれでなければいけない
・・・という、案外クリアしにくい問題があったからである。
難しいと思いませんか?
特にこの顔ぶれでは「先にきたものからお構いなしに始めてよい」という原則があるため、皆「遅刻」というものをしない。
理由は明快で、遅刻即割り勘負けとなるからである。
何故か30分前に「うっかり」来てしまうケースすら見受けられる。
採算の問題から、予約は5名から(円卓がひとつ必要なので)で一人5000円。それを四人で食べるという形。夜は8時で厨房の火を落とし、8時20分には閉店・・・という、結構厳しい縛りがある。
が、結論からいうと、それでもいく価値があった。
羊は生でも食べられる鮮度のよさ(店の人には「お勧めしません」と言われたけど)。
ニュージーランド直輸入の「生肉」だそうな。
早く着いたので、かってにビールにおつまみを取って始めたけど、この「ゆで豚」だの「きゅうりの和え物」だのという、一見どうってことなさげな小皿料理が、なんだか大変にうまい。
期待感、いやがおうにも高まる。
尚、早く着いたのは「せっかくだから、小石川後楽園でひっそりと春の訪れを楽しみませう」と、珍しく柄にもない情緒のあることを思いついたからだ。
それならば「天気予報チェック」を忘れずに!などとは念頭にも浮かばず、近隣に着いたら雨でどんより曇っていた次第。
いっつも忘れるが、私は体質的に「雨女」なんである。
あ〜あ。
人が揃って、前菜がスタート。
一見普通だが、しっかりと手をかけた感のある三種の盛り合わせ。
えび団子、ウマイ!
普通にうまいがこのフツウは後を引く・・・しばし奪い合い。
そして真打ち。
しゃぶしゃぶ鍋が据えられて、店主登場。
店主のウンチク能書きが長い店は、どうもウザい事が多いけど、ここはすでに『芸の域』に達しているので、座が盛り上がる。
11種の薬味をまぶしつけて、ヤッホッホと「シャブに熱中」し終わると、羊肉の餃子と麺を投入してくれて、あとデザートが二品。
この店名物の『三不粘』なる黄色いスライム状(?)の菓子は、不思議な食感。
結構癖になる味だ。
とにかく、一品一品、細かく丁寧で繊細な手がかかっているのを感じる。
いわゆる中国大陸的なダイナミズムでウォォというのとは違う、東京中華の名店、と思った。
是が非でも一般メニューでもう一度!と決意を固めて店を出たのでありました。
尚、先行して調査に出た連れ合いによると「ランチ500円戦争の爆心地カンダでは、ランチはやや高めで少なめ。でも、味は上々」との由。
お気に入りがまた一つできて、連載一周年の喜びがいや増した雛祭りの日ではありました。
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