2007年09月18日

ティーン・ショーキ

ティーン・ショーキ
「ティーン・ショーキ」はウチワサボテン。
確かに団扇のような形だ。
アラビア語名のティーンは「無花果(イチジク)」
ショーキは「棘」の意で
あわせて「棘無花果」とこちらもわかりやすい名前。



エジプト各地の街角では、暑くなってきたかなと思うと街角にリアカーが現れる。
郊外の農村地帯からやってくる「ティーン・ショーキ売り」だ。
棘だらけの、アボカドくらいのサイズのサボテンの実を、山積みにしてやってくる。
「一個おくれ」というと、いつ洗ったかわからんようなタオルでナイフを拭いてから、
素早く剥いて食べさせてくれる。
枇杷をもっと瑞々しくしたような味だ。
無花果にも似ている。
ちょっとだけ青臭い。
エジプトにいた当時はこれが好きで好きで、街角で行き会うと買い食いしていたものだ。
「あのナイフは、大丈夫なのだろうか」と思わないでもなかったが、
当時は「まあいいや」で片付けていた。
本当のところ、体調の気になる旅行者の方などには、あまりオススメしないほうが
よさそうではある。
実はよいとして、皮むきナイフが今ひとつ衛生的ではないように思えるので・・・。

じゃあ、自分で剥けばよかろう・・・と思って実ごと買って帰ると、結構しぶとい棘と
文字通り「痛みを伴う戦い」を強いられる羽目に落ちる。
やるならゴム手袋着用のこと。

実際、冷やしたらさぞかし美味しかろうと、剥いてもらったものを冷蔵庫で冷やして
食べたこともある。
これはきちんと洗って食べたのだが、あとで軽くお腹をこわした。
十個も冷えたのをイッキ食いしたからいけないのである。
夏休みに西瓜を食べ過ぎて、お腹がピーピーになる子供と同じことだ。
やれやれ。

写真はこの夏、伊豆の弓ヶ浜近郊で撮影。
以前にも出かけた保養所の庭先に立派なティーンショーキが一本生えているのだ。

この団扇の先にくっついている小さな丸い実が、アボカドくらいの大きさに育つと
食べられるのだが、残念ながら伊豆の夏ではまだ時期が早いらしい。
さて、一体食べられる大きさになるのか?
だとしたらいつ頃なのだろうか?
なぜ知りたいって、食べに来たいからだ。

そう思いつつ何年かがたった。
いつかそのうち、とは思っているのだが。
  

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2007年04月01日

カイロの紫の・・・まぐろ 〜カイロ日本食事情〜

カイロにも日本食の店はある。
もう過去20年以上もの間、さまざまな紆余曲折有為転変を経て、結局のところ
めざましくレベルアップした、ということはなさそうである。

地元のエジプト人の食志向がいたって保守的で、生の魚どころか魚が全部ダメ、という
人が結構いるくらいだ。
どうしても現地在住の日本人に、マーケットがほぼ限定されてしまう。
私がいた当時で、最大700人くらいになったことはあるが、今はどうなのだろう?

まあ、とりあえず「田舎の小さな村に食堂が何軒かある」と思えばよい。
そういう村では「食事は家でするもの」となりがちで、勢い「外食グルメ」などという
発想は薄くなり・・・といった状況を想像していただけると、まあまあ近い線かと思う。
とりあえずはカイロの「日本食」に限った話だ。
他の料理が素晴らしく美味いか、というと、また色々言いたいことはあるが、今回は
割愛する。きっぱりと。

カイロの日本食は、そういうわけで需給のバランスが反映して結構高い(味や質を
云々するのは敢えてやめておく)。
時々瞬間的に良心的な素晴らしい板前さんが、どこかしらに現れることもあるが、
まあこれは長い歴史の中(?)では「夢の一瞬」でたいてい終わる。
過去も現在も、その繰り返しらしい。

だから、自炊さえできれば敢えて外で日本食を、とは思わなくなってくるのだが、
ここで困るのは料理の苦手な独身者や単身者(男女問わず)、そして日本からのお客を
接待しなければいけない駐在員・出張者だろう。

しょうがないので、そういう日本食のレストランに出かけては「諸々の感慨」を抱えて
店をでる。
私もそういう場にいたことがあるが、ある日「あの魚は何ですか?」と寿司ネタのケース
の「紫色の物体X」を指差してたずね、

「メジマグロです!」

と元気よく答えてもらったときには、かなり萎えた(為念言っておくが、この店は
もうない)。

その時まで「茶色くなったマグロなんて最低だ」と思っていたのだが、
「それならばまだ許容範囲。紫はダメ」という幅の広さが身に付いた経験ではあった。

さて、そんな時代から早くも10年近くが経過。
最近はマリオット、ハイアットといった一流ホテル内にも日本食レストランができて、
選択の幅は一応増えたらしい。

Luxorザマレク地区にマリオット・ホテルがある。
そこでオットが「新作のビール」を
撮影してきてくれた。
「ルクソール」という。なんとヴァイツェンだ。
まあまあよかった、との由。
最近ビールの種類も増えている。

Meister Maxこちらも同じレストランで、
「Meister Max」というもの。
「どうだったの?」
「うん、まあいいんじゃないか」
・・・まあ、わざわざ写真を撮ってきてくれた、
という事実に感謝すべきなのであろう。

(どなたか飲んで前向きな感想のある方、お知らせください)

しかし、テーブルの上に立っている「腹減った」というのはなんです?
そうたずねたら「日本食屋だったんだ」との由。
マリオットの「とりい」なるレストランで「寿司食べ放題」をやっていた、と。

「どうだった?」
「まずかったよ。アレはヒドイね」

打って返すようにストレートな感想だ。
彼がここまで言うとなると、これはひどいに違いない。
詳しく聞いてみる。

「一人LE120(LE=エジプトポンド、1LE=約20円)だけど、なんかワケワカランものが
寿司にのってくるんだ。
シャリはちゃんと炊けてなくて、酢飯にもなってないんだよね」

日本人の板前はいなくて(以前いたという噂を聞いたことがあるが、今はいないの
だろうか?)、東南アジア系のコックが作っているらしい。

なお、手元の資料によると以下のように書かれている。

「座ると暖かい濡れタオルを出してくれる(*注:オシボリのことであろう)。
『センバ・シロー(魚とエビのスープ)』と『アラスカ・ロール(クリームチーズ、キュウリ、魚のペースとサーモンのスシ)』を試してみるべし。カリフォルニア・ロールには、残念ながらアヴォカドが入っていない。テンプラの揚げ具合と塩加減は完璧。サービスは抜群だ」

「センバ・シロー」なるものは、ここのオリジナルらしい。

資料はちなみに"Egypy Today"という英語の現地在住外国人向けの月刊誌(2007年3月号)。
いろいろな意味で結構面白いので、たまに誰かいくと買ってきてもらうことにして
いるのだが、レストランガイドは「参考情報程度」にしかならない。

だって、英語圏といえばイギリス人かアメリカ人で、それがエジプト人と一緒に書く
グルメ記事なのだから、期待のしようがないではないか。
その他の特集などはなかなか面白いので、カイロに行くことがあればとりあえず最新号を一冊買って読むとよいかもしれない。

まあ、そんなようなこんなようなわけで、カイロのビール事情はよくなっているが、
「日本食事情」は相変わらずらしい。

イスタンブルや湾岸諸国などには、かなりグレードの高い日本食レストランがあるので、
やっぱりこれも「エジプト的お国事情」なのだろうな・・・。  
Posted by arimaburabura at 23:30Comments(8)TrackBack(0) | Amazon.co.jp | 楽天市場 | ブログ