『トルコで私も考えた』の第5巻が出た。
ユーモラスな絵柄の少女漫画なのだが、トルコ好きの間に根強いファンがいる本だ。
1996年に著者の高橋由佳利さんがトルコへ旅行に出かけ、見るもの聞くものまあ面白い・・・!という情況で始まるのが1996年発行の第一巻。
その後12年の間に、トルコ人男性と結婚し息子が生まれ、家族で日本に渡ってはたまにトルコへ里帰り・・・という生活になっていく。
この辺りの高橋さんの生活の変化も、第一巻から読んでいると感慨深いのだが、あわせてその背景にあるトルコの生活の変化も面白い。
何しろ4ページほどの短いエピソードが、月一回ペースで連載されていくわけなので、一冊分たまるまでが実に長い。
今回の第5巻も首を長くして待った挙句、忘れた頃にひょっこりと出たのだが、なんでもこれが最終巻との由。
実に寂しい話だが、まあ仕方がないですね・・・。
どうもひねくれた私的感覚なのだが、他人の書いた海外旅行記や生活記というものは、書いた本人や関係者にはそこそこ面白いのだが、第三者の目線からは「だからなんだ」とつい思いたくなるものが大半だ。
私の目には少なくともそう映る。
しかし、このシリーズにこと関しては、特に肩肘張らない柔らかな目線で捉えたトルコの衣食住、日常生活、そして周囲のトルコの人々や高橋さんの家族たちの姿が生き生きしていて、独特の世界になっているので何度読み返しても面白い。
飄々としたユーモラスな絵も、実は辺りのディテールがきちんと綿密に書き込まれていて、貴重な記録になっている。
少女漫画かあ・・・と手に取りかねている方がいたら、是非ご一読をオススメする。
品切れの巻が結構あるのだが、短編集なので間が抜けてもなんとか読める。
いい本なので、是非版を重ねていってほしいものだと思うのだけれど。
ちなみに、我が母校の中央アジア史が専門の某教授も絶賛太鼓判のシリーズでもある。
トルコに関心ある方は是非どうぞ。