一度は友人と、二度目は一人で。
どちらも旅行だ。
当時はまだ20代後半で、カイロから紅海沿いのヌエバに出て、そこからフェリーでヨルダンはアカバに渡ったのだった。
当時はまだ経済的に恵まれた旅行でもなかったし、現地に知己がいたわけでもないので、なんとなくぶらぶらしただけで終わった。
食べるものも、高級店など行きようがない。
でも、案外エジプトより料理は美味しいかもしれないなあ・・・と思ったのを覚えている。
さて、最近ヨルダンに仕事で出かけた夫が懐かしい写真を送ってくれた。
その中で、一番ワタシの唾液腺を刺激したのが「マンサフ」という料理。


焼いた羊肉と長米という組み合わせは、中東圏ではよくあるものだ。
ヨルダンではこの上に、ヨーグルトとチーズで作った温かいソースをかける。
本式には山羊の乳から作るものらしい。
私が覚えている限りでも、なんだかシェーブル・チーズのような香りのする料理だった。
注文すると「本当に大丈夫なのか」「これは変わった味がするんだぞ」と
必ずお店の人がひとこと言いに来てくれたっけ。
でも、夫の取引先が言うところでは「水牛の乳から作ったもの」だそうだ。
湾岸全体で「マンサフ」というと、羊を一頭潰して作るような宴会料理になるらしい。近所のレバノン料理店のシェフが「マンサフならば10人集まらないと」と言っていたことがあったから、このマンサフとはどうもイメージが違うらしい。

「ラバン」といえばエジプト方言では
「ミルク」になるのだが
ヨルダンではヨーグルトの飲み物になる。
何故か英語のメニューでは
「アイラン」と記されていたそうだ。
確かにトルコの「アイラン」と同じような、塩味のヨーグルトドリンクだ。
英訳が「アイラン」は、ちょいとお店の勇み足、という感じがする。
夫が会食相手のヨルダン人に聞いたら、アラビア語表記は「ラバン」だったとの由。
羊肉とヨーグルトは相性がいい。
写真を見た瞬間、あの玄妙な味と匂いが蘇ってきて、もうたまらない。
帰国してきた夫に向かって、もう私は明日ヨルダンに行っちゃうぞ、というだけ入ってみている今日この頃。
この他、ヨルダン料理の画像を夫が撮ってきてくれたので、思い出話ともどもご紹介します。
(つづく)