2007年03月05日

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続 ベリーダンスの話 〜一流ダンサーは何処に?〜

友人のRさんがカイロに行くにあたって、老婆心ながらちょっと「現地事情」の話をした、
前回書いた。

カイロがベリーダンスの本場にして、世界の拠点であるならば、これはやっぱり一目
「一流の芸」をみたいと思うのは人情だ。
最近あちこちにある、BBSやらSNSやらの類でも「カイロでベリーダンスを見るには
どこに行けばいいでしょう」という質問が見受けられる。
大抵が「観光客相手のものでなく、地元の人が行くようなところ」という希望だ。

この場合、答えはシンプルで「カイロの一流ナイトクラブへ」ということになるのだが、
これが案外一筋縄ではいかない。

「ベリーダンスが見られるところ」とまず考えると、

1.ナイル川ディナークルーズの観光客向けショー
2.レストランなどでのショー
3.ナイトクラブ

と、まあこの3パターンだろう。
1の場合、以前に夫が行ってきた記事を上げたことがあるし、Rさんも別の船のショーを見てきたそうだが、まあ「芸としての踊りを見る」というよりは、雰囲気もののアトラクションだ。

2になると、これは場所による。
エジプト以外の国では、ダンサーのレベルの高いレストランもあるらしいが、エジプトの場合はディナークルーズと大差ないことが多い。
高級なレバノン料理のレストランでアラブ人客が多いところならば、ひょっとしたらいいダンサーがいるかもしれないが、場所は限られるだろう。

それならばナイトクラブということになるが、勢い込んで出かける前に、カイロなどの
所謂「ナイトクラブ」とはなんなのかを一応わかっておいたほうが良いかなあと思う。

一言で言えば、これは「夜の紳士の社交場」というやつだ。
この類の場所は、日本でも下は場末のキャバレーから、上は銀座の高級クラブまで、
値段と出入りする人間の階層にあわせて色々だが、これはカイロも似たり寄ったり。
違うのは、あからさまにホステスや酌婦の類の女性はつかないところと、必ず「ショーを見せる」という前提でクラブが運営されているところだろうか。

こういう場所にも種類があって、これはシンプルに「高級」と「その他」にあっさり分けて
よさそうだ。
前者は主に一流ホテル内にあるナイトクラブで、こういうところならば女性客を
見かけないこともない。
但し、その場合は男性に同伴されている、という状態がほぼ鉄則に近い。
まあ、女性だけで入れないこともないのだが、銀座の高級クラブに一見で女性が飲みに
行くようなものだ、と考えたらわかりやすいだろうか?
できなくはないが、ちょっと浮き上がった感じになってしまうのだ。

では「その他」は、と言うと、実は私も行ったことがない。
場所により色々あるらしいけれど、話に出たドイツ人の友人などは一人で果敢にも入ろうとして、入場を断られたりしている。
一流ホテルなどの高級ナイトクラブと違い、こちらは「男性専用」なのだ。
カイロ市内からピラミッドへ向かう、いわゆる「ピラミッド通り」に軒を連ねているナイトクラブなどは大半「その類」で、1〜2軒は筋のいいクラブがあるらしいが、大半は「色と酒」が主体となる。
娼婦がいるのかどうかまでは知らないが、この辺で踊るベリーダンサーには「色がらみ」が
ついて回るという話だ。
システムまではわからない。
ご存知の方は、是非お知らせ下さい。
ワタシもどうなっているのか一応知りたい。参考までに。
一生行くことのない場所ではあるけれど。

そういう事情だから、地元の人は普通はナイトクラブなどに出入りしない。
するとしたら、必ずしも信心の深くない金持ちだ。
高級、その他のどちらであれ、庶民が遊ぶ場所ではないのである。
だから「地元の人が行く場所で、観光客向けでないベリーダンスのショーをみたい」
という外国人ツーリストの希望は、カイロの街の実情とずれてしまう。
残念ながら。

さて、Rさんはその友達と二人連れで出かけよう、ということだったので、まずはその辺の
事情を説明して「行くならば一流ホテル内の高級なところへ、できる限り『男性同伴』で」
とアドバイスしてみた。

カイロのような街で、女性だけで「紳士の社交場」に出かけるとしたら、これは間違いなく周りの男性が放っておかなかろう。本人の受け止めよう次第でもあるが、男を漁りに行くわけではないのだから、まあまず鬱陶しいことになる。

ところが「男性と一緒」というだけで、程度の差はあれ周りは遠慮するのだ。
エジプトにしても、その他中東諸国にしても、彼の地の男達は原則として「他人の領域を侵さず」という、案外律儀な「縄張り意識」を持っている。
他の男性が連れている女性を、じろじろ見ることすら「男としての信義に悖ること」となる。
だから、同胞であるエジプト人始め中東系の男性が連れている女性にナンパをかけるなど、
まったくもって言語道断な行動になる。
フェミニズム的な見地から、女性はモノやナワバリではないっ!と怒る人もいるかも
しれないが、まあそれが現状なのだから一応理解しておいて損はあるまい。
これが外国人だとケース・バイ・ケースで、同胞に対してよりは緩いが遠慮はするはずだ。
多少の粉はかかるかもしれないが、ノーガードの状態よりはマシであろう。

「まあ、だから、誰か信頼できる男性と一緒に行ってね」と私は言った。
老婆心ながら。

尚、クラブの格が一流だから、ダンサーもすべて一流とは限らない。
こういうナイトクラブの場合、あくまでも「紳士の社交場」であって、ベリーダンスを観る
というところに第一義はないので、そうそう極端に下手なダンサーは出さないまでも、
超一流のベリーダンサーが出ているとも限らないのだ。
実際、私は「なんだこりゃ?」と思うような「若手ニューウェーブの新星」とやらのショーを
観る羽目に落ちたことがある。
話はずれるが、昔の勤めていたホテルの「現場研修」だった。
ホテルの商品は一通り見ておけ!という指令だが、まさか一人じゃ行けません、と言ったら
「ハズバンド同伴可」となった次第。
夫同行の現場研修。経費で無料でもあれは辛かったが、その話はちょっと置いておいて・・・。

トップクラスのダンサーは一ヶ所の専属だが、契約をするクラブは数年ごとに変わる。
しかも、こういうダンサーは毎日出ないこともあるので、確実に出そうな日は要確認だ。
だからまず「今をときめくトップダンサー」がどこのクラブに出ているか、から始まって、
まずは調べなければいけない。
ちなみに、RさんはDINAというトップダンサーの出ているところに行った。
どこに出ているのか、と思ったら、私の昔の職場なのであった。
「儲からないからナイトクラブは潰す!」と当時の料飲部長が始終言っていたものだが、
マネジメントの方針が変わったらしい。
組織や物事の方針が、たまげるほどドラスティックに変わることがあるのも、エジプトの
特徴なのではある。

ここで、え〜、それってズルイ・・・などと口走ってしまった私は、単に心の狭い人間だ。
DINAのショーならば、何度でもみたい。
大昔に一度、ピラミッドのほうの超一流ホテルと専属契約を結んでいたころにショーを
観に行ったが、これは素晴らしいものだったのを今でも覚えている。

さて、話が脱線しているが、じゃあ男性ならば、そういう一流のショーを気楽に観に行って
問題ないわけだね、という結論にくると思う。
でも、これがやっぱり「難」なのだ。

けっこう現実的で辛い理由があるので、だんだん歯切れが悪くなるが・・・
まあ、しょうもない理由だ、ということで次回に続く。


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この記事へのコメント
うぅ〜ん、ひっぱりますねぇ〜。
まあ、どこの国でも秘密の園というのはありますからね…で、男性(オットさんかな?)の受「難」というのはなんでしょうか?
楽しみ、楽しみ!
Posted by とも2 at 2007年03月06日 01:02
とも2サン

いえ、そんなややこしい話ではなく、ホントにしょうもない「日本人の身体的理由」です。男女問わず。あ、余計謎が深まってますか?
・・・聞いたらガックリくるかも・・・。

まあ、オット、かなり「受難」でしたが。

ハイ、数日中に、必ず・・・インシャアッラー。
Posted by アリーマ at 2007年03月06日 10:26
アリーマさん
急ぎませんよ。
ゆるりゆるりとお進みください。
Posted by とも2 at 2007年03月06日 23:31
ハイ、ゆるゆるいきます(笑)。
ありがとうございます。

もっとサクッと終わる、と書き始めたときは思ってたんですけど・・・なんかのびてます。
Posted by アリーマ at 2007年03月07日 22:30
アリーマさん、その説はありがとうございました!
お蔭様でDINAのショー楽しめました。
1つめのブログでも触れていただいていましたが、観光客向けのものは今ひとつ(今100個くらい?)だったので、余計にすばらしく思えました。
アリーマさんも書いていたように、アメリカやヨーロッパでは独自の路線で発展し、これはこれですばらしいダンサーさんが沢山います。
でも、あれほどの筋肉は見たことがなかった。
そして何より動きとしてみた時の踊りが、アメリカやヨーロッパのトップダンサーとは全く違いました。
"魂"のままに踊るといった感じなのでしょうか。。。
これがアリーマさん言うところの"遺伝子"なのかもしれませんね。
とにかく最高でしたよ。^^
また行きたい!
Posted by 蓮 at 2007年03月08日 14:28
蓮さん

蓮さんの行かれたナイル川のディナーショーは、評判に聞く限りは「二番手」で、先日夫も行った船が一応ベスト、と聞いています。また行かれたらそちらの感想も是非、といったところですねえ。
Dinaは気性も激しいダンサーとして有名で、本来はヴェールで覆わなければいけない腹部なども素肌のままで「私を逮捕できるものなら逮捕してごらん!」とステージ上で啖呵を切った、などという伝説もある人と聞いています。15年ほど前に見たときは、すごい勢いのある踊りでしたが、いまや「円熟期」なのでしょうね。
私は欧米のトップダンサーのステージは見たことがないので比較できませんが、モダンダンス出身者が多いという話のトルコのダンサーは、確かに技術はすごいけれども印象としてベッタリ足をつけた泥臭さや官能性よりは「トウで立つ」イメージのきれいなダンスだったので「違うもんだ」と驚いたのを覚えています。
Posted by アリーマ at 2007年03月08日 15:52

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