
「蛍草」「藍花」「青花」「移草」「月草」などなど、色々な名で呼ばれるが、「青い色がつきやすいが褪せやすい」ということで、古来「儚さ」を思わせる花だ。
儚げな姿とは対照的に、実にどこにでもよく根を張って咲く。
女性のタイプとしては、好みがわかれるところなのだろうか?
さて、一転して英語名はと言えば"Wandering Jew"ときた。
さまよえるユダヤ人?
はてさて・・・。
花を見る心の、彼我の相違を感じてしまう。
露、といえば、露草とは関係ないけれど、思い出されるのは『伊勢物語』の一首。
「白玉かなにぞと人の問ひし時 露とこたへて消えなましものを」
とある恋仲のお姫さまを浚って逃げた男。
途中、このお姫さまが、朝まだきの露をみて「これはなあに?」と問いかけたけれど、返事もせずに逃げるのに必死。
一夜、仮の塒に恋人を寝せて、自分は入り口で番をしていたつもりが、ふと気づけば姫は鬼に喰われてしまっていた・・・というお話。
あの時「あれは露だよ」といって私も消えてしまいたかった、とうたっているのですが、実の所は、お姫様は家族に連れ戻されてしまって、ご本人とされる在原業平が嘆き節を一首、というのが本当のところだそうな。
まつわるエピソードも、かなりしぶといものではありますね。