先日、レバノン料理の会を行った。
アラブの料理というのは、本来が大勢でわいわいと食べるものだと思っているし、実際そうしたほうが、楽しくおいしく食べられるものが多いのだ。
最低十名いないと調整出来ない、というものもある。
つまるところ、自分の食い意地一本やりで会を企画したのだが、まず驚いたのが最初に某SNSで告知を上げたときの反応だった。
「こんな企画に関心のある人は?」と投げかけたところ、各所から総計100ほどのレスポンスが出たのだ。
正直言って、驚いた。
こういう場合、半分は「なんとなく」としても、残り半分はかなり乗り気と見て良い。
そして日程や時間などをレストランや私の都合とすりあわせて、たぶん半分くらいの人が諸般の事情で残念ながら・・・ということになりそうだ、と思ったら、本当にきっかり25名の人々が、遠くは栃木や静岡から、横浜での本会に参加してくださった次第。
トルコ料理は随分知られてきたが、そろそろアラブ料理にもかなり関心が集まっているらしい。参加希望のレスポンスが、7割がた女性からで、当日は女性2対男性1くらいの比率だったことを考えると、若い女性の「食」への関心が、かなりこちらの方面に向いていることが強く感じられる。
そんな風に「へぇ」と感心してしばしのち、中東・地中海料理の特集が、Elle系のお洒落な女性誌から出た。
正確には"Elle a table"という。
「お洒落な食生活の高級誌」というイメージだろうか。
取り上げられているのは、トルコ、ギリシャ、レバノン(!)、エジプト、チュニジア、モロッコ。
「地中海特集」といいながら実はどっぷりと「中東」だ。

内容は上品でお洒落な女性誌だけに、それに沿ったイメージになっているのだが、上がっている料理の種類や、イメージなどお洒落なりに現地とそうずれておらず、資料としては面白い一冊。
レシピがカード式になって24枚ついている、というのも便利だ。
「女性がお洒落にお料理できる」というのもひとつだが、単に写真だけでなく原材料や作り方というのは、料理や現地の食生活をイメージするのに欠かせない情報だからだ。
このあたりは、さすが女性の視点で作った雑誌だ、と感心する。
男性が中東の料理、などと言い出すと、このあたりの情報がスッポリ抜けてきて、
結局のところ「なんだかエキゾチックなイメージ」で終わってそれ以上進まないのだ。
写真がいかにも美味しそうで、すっかり頭の中が「あれを食べたい、これを食べたい!」で一杯になってしまった。
そんなわけで、中東の食文化に関心をお持ちの向きには、オススメ。
アカデミックなところから、単なる食い意地っ張りまでカバーして、爽やかな地中海近辺の風景で気持ちも和む。
9月号で発売したばかりなので、売りきれる前に一冊お手元にどうぞ。