2006年04月29日

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続 キスと抱擁 〜各地各様・・・でも、ホントのところ〜 【第54話】 前編

●各地各様あれやこれや

アメリカ在住の読者のNさんから、お便りをいただいた。
現地で結婚して長く生活しておられる方なので、アメリカの事情がよくわかった。

以下、Nさんのお便りを併せて、前回の補足をしておこうと思う。
ちょっと「中東」から離れるが、お許しいただきたく
(皆さん、知りたくありませんか?)。

前回の記事で、
「なんだか男同士でブッチュと接吻する「挨拶」も所によりあり、ときいた」と書いた。
どうもロシアの方面らしい。
実態は如何なのであろうか?
是非ロシアに強い方に教えていただきたい。

Nさんによると「唇」というのは、実はアメリカでは「あり」だそうだ。
男女の場合で、かなり親しい間柄の「挨拶」とのこと。

曰く、
「親しい友人の男女や、近所付き合いでは顔を寄せ合いますが、
半分以上は頬で音だけではなく実際に軽く唇を合わせます。
これは流石にダメです。ごく親しい奥さん達との挨拶の時には困惑します」

う〜ん、ハリソン・フォードばりの「近所の旦那さん」だったら、
結構嬉しいかも・・・と思ってしまった私は、所詮「日本のオヤジの一種」です。

困惑する相手としない相手がいそうな気が・・・でも、横で夫が他のオンナと・・・
と考えると「やっぱりだめ!」と思う私はやっぱり日本人です。

オヤジと馬鹿にした皆さん、ごめんなさい。
私も根っこの部分は皆さんと同じであります。
許してくださいまし。

ただし、同性同士はないようだ。
もちろん、ゲイ・ピープルをのぞいて、ということだけれど。
あるなら金輪際「渡米移住」という人生オプションは捨てようと思う。


●キスの回数と「お作法」(?)

所謂この「ハギング」の基本形は、握手して顔を近づけて、
左頬に一回、右頬に一回だと思っていた。

繰り返すけど、頬を近づけて「チュ」というよりは軽い舌打ちみたいな音を立てるだけで、唇はつけない。原則として。

でも、Nさんのお話で、面白いコメント
「アメリカ人にも明らかに初対面の異人種をハグする事に躊躇する人がいます。
習慣の違いを思いやってなのか潜在的な人種の壁かは判りません」

これは両方かなあ、と思った。
日本人ほか一般的なアジア人は心理的に抵抗があり、イスラームでは男女は御法度、などという人種と習慣の違いを理解している人たちも少なからずいるだろう。
アメリカのような国ならば、大人になるまでに相手を困惑させてしまって、困った経験のある人もいそうではある。

でも、正直なところ後者もあり、だろう。

あと、前回書き忘れた大事な基本。

Nさんより
「ハギングは初対面ではあり得ませんし、尊敬の念が有る様な場合は握手が普通です。でも、初対面で話をした後のお別れの挨拶はハグになる事は多い様です」

確かに、初めての出会いまでに余程エモーショナルな背景(なんであれ)
がない限り、最初は握手。
いきなりハグってはいけない(?)のです。
気をつけましょう。


●なんとなく私的実践(?)パターン

でも、話が盛り上がったあとは、ハグしてバイバイ、ということにはなる。
ただし、商談では微妙。

私は女性なので、海外からくるよく知っているお客さん(又はその逆)で、そうしょっちゅう会う仕事相手でなければ「じゃあ、お元気でね」という意味で自然とそう体が動くこともある。
空港まで出迎えた時に「わあ、お久しぶり!」という挨拶にもなる。

でも、普通はやらないだろう。たぶん。
あと、男性のほうから、というケースはない。
とりあえず自分で空気を読んで、OKかNGか決めている。
それが本当にOKかNGかは、また別の話になるのだろうけど(OKであってほしい、と祈る)。

ちょっとここで脱線。

最近は、86歳のエジプト人のお爺さん。
亡父の知人が、フランス留学時代の親友が来日するので、私がエジプトに縁があるのを思い出して食事に誘ってくださったのだ。

イスラム教徒といっても、革命前の上流階級のお年寄りというのは、もう本当にエレガントで素敵な人が多い。
明るくてやさしくてホスピタリティーにあふれたエジプト人本来の良さと、ヨーロッパの教養と落ち着きを併せ持った人がいる。
話をしていても、実に教養豊かで、教えられることが多い。
一昔前の「エリート」というのは真に「選良」だったのだなあ、とよく思う。
これは世界中どこでもそうだ。

その方に言わせると「革命がすべてをだめにした」というのだけれど、このあたりの考察は別の機会に譲ろう。

物静かだけれども快活な素敵な方で、どこをどうひっくり返したら86歳というカウントになるんだろ、と驚いた。毎週末はテニスを楽しむそうだ。
昔はナショナルチーム級だったということで「今も右の膝が痛むので、きっちりサポーターでガードしてやってるよ」とのことだった。

私も昔は陸上部で、膝と腰がどうの・・・と、普通に盛り上がれる86歳紳士。
エジプト人としては始めて遭遇した「花の好きな人」でもあった。
三渓園という有名な公園にご案内したら「あの花はなに? この花はなに?」と「花の名前」を山ほど聞かれる。

「ワタシ、エジプトの人に花の名前なんて聞かれるの、初めてなんですけど」と、言ったら、笑っていた。

「どうしてあの木はあんなふうな面白い形に枝を伸ばしているのだね?」
さすが、お目が高いこと。

「日本では、植木というのは一種のアートなのですよ。
彼らはただのガーデナーではなくて、アーティストなの」
「たいした国だねえ、ここは」

素敵な方だった。

で、お別れのときに、そういう風にご挨拶した。
先方も、ごく当たり前に受け止めていた、と思う。

余談でした。失礼。

(後編に続く)



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