2005年09月07日

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レバノン料理『アル・アイン』

レバノン料理店「アル・アイン」のパンフ結婚以来、私のお誕生日と結婚記念日には美味しいものを食べに行くことになっている。

このところ、すっかりアラブ料理モードにはまり込んでいたので、横浜の『アル・アイン』へ。
「アイン」は泉の意。
さて、このレストランは憩いのオアシスになるだろうか?


結論を先に言うと、そうなりそうだ。
大変美味しかった。
日本で中東料理、トルコ料理というところにはたまに行くけれど、また是非行きたいと思う店には滅多にぶつからないので「どうしてもっと早くこなかったんだ〜!」と己を責める。

「僕は毎年、本場のを食べてしまうからねえ。ううん」などと、今ひとつ誘っても乗ってこなかったオットまでが「まったく、どうしてもっと早くいわないのかなあ」と憎まれ口を利く。
まったくもう。

余談だが、彼は仕事でレバノンにもよく行く。
周辺湾岸諸国も抱き合わせで「ドサまわり」になるのだが、
「思いっきり肉食圏」のこの界隈、巨大草食獣である夫には、ほとんど日々が拷問に近い。
何しろ「客人はテンコ盛りの羊肉でもてなす」というのが基本姿勢のエリアなのである。
たとえばテヘランに三泊すると、毎晩違う取引先が現れては
「今日はテヘランで一番うまいシシカバブを食べさせてあげよう!」と、
毎晩違うレストランで羊責めに合うそうだ。

「きみがいたら喜ぶだろうなぁ」と、こういう時だけ「肉食獣」と蔑んでいる妻を思い出すらしい。

で、そういう彼がほっと一息つけるのがレバノン。
野菜が豊富で、魚もあって、とにかく前菜類が充実しているから、毎晩レバノン料理でもいいくらいだと言っている。

ううう、いいもん食べてるんだろうなあ。
何しろ、どこの国で何を食べるにしても、現地の名士が連れて行ってくれるところが、一番美味いに決まっているのだ。
これは中東に限らない。

話を横浜に戻そう。

出かけたのは土曜日で、金曜と土曜はセットメニューのみとの由。
ベリーダンスのショーがあるので、ショーチャージも含めたメニュー設定になっているとか。

思いっきりマッザ(前菜)をテーブルに並べまくろうと期待していたので、ちょっとがっかりするが、気を取り直してコースを二種オーダー。

内容はレバノンとエジプトとマグレブ方面を、あれこれ組み合わせたようになっている。

まず前菜で「ん?」となる。
量が少ないのだ。
確かに一品の盛が大きすぎるのも、いろいろ食べられないから困るが、しかし盛り付けがあまりに上品である。

ただし、それぞれは非常においしい。
若干日本人向けにソフトに修正してはあるが、基本的にエジプトあたりで食べた高級レバノン料理と大差ない。ひょっとしたら、こっちのほうがおいしい。

夫も「現地の味がする。おいしいよね」という。
「でも、中東の客が見たら憤死するぞ、この量じゃ」

で、我らはアホのようにホブズ(アラブ風の平たいパン)をお代わりしまくり、それでも「なんか物足りん」とブーたれていたのである。
でも、コースとはいっても、決して原価が安くはなかろうホブスを、これだけむやみに食べさせてくれるなんて豪気ではある。

メインにとったラムチョップも上々。
控えめだが丁寧に染みた香辛料と、ラムの肉汁がマッチして、これは正しく懐かしの「レアーシュ」だ。
うっうっ、久しぶりだなあ、こういう羊肉。

「肉ダメ」の夫までが「ひとくちクレ」と言い出す。
「お、うまい!」

とこうしているうち、オーナーシェフのジアード・カラムさんがテーブルにやってきた。
「どうですか〜?!」
彼は、明るく元気にシェフ姿で各テーブルを回るのである。
「パンお代わり? もっちろん、いいよ〜お代わり一万円ね〜」

こういう人がいると、今ひとつ地味だった店の空気も一気に賑わう。
大半は「アラブ料理って?!」と好奇心いっぱいでやってきたお客さんなので、こんな風に店の人が盛り上げてくれて、あれだこれだと説明したり現地の話をしてくれたりすると、やっぱり楽しいものだ。

そう、アラブ料理などに限らず、日本のエスニック系レストランでどうも今ひとつ物足りないのが、こういう「押し出しの明るさ」だなあ、と、この日つくづく思った。

さて、われらがテーブルで。
「パン好きですか? お料理どうですか?!」
言おうか言うまいか悩んだが、とりあえず言ってみた。

「とっても美味しいんだけど・・・」
「ちょっと量が・・・」
「追加で何か違うマッザは、ないだろうか。いや、ギブナ・アビヤド(白チーズ)とかでも」

そこでジアードさん「むむっ!」という顔をしたのだ。
なんかいきなり気合の入った感じ。

「ショー終わるまで待って。ナニ食べたい?うん、ワカッタ」

で、ベリーダンス。

ダンサーは日本人ながら妖艶なアラブ美女風の肉体も艶かしい。
なかなか雰囲気があるし面白い。
お客さん参加形式なので、ジアードさんがうまく盛り上げた周りのグループは楽しそうだ。
我ら夫婦は残念ながらこういうノリが苦手なのだが、ダンサーと目が合ったときに目線で「パス」と伝えたら、無理強いもされなかった。

さて、ショーが終わると・・・出るわ出るわ。
あれやこれやが、テンコ盛りである。
しかも、メインにモーザという「子羊の骨付き腿肉」まで。
さっき出た前菜類も、今度はオリーブオイルがしっかりかけてある。

で、忘れていたのだが、ホブズというのは後でドカンとおなかにくるのである。
「ドカン」の過去を思い出しつつ、二人とも「格闘技状態」で食いまくる。

ううむ、アラブのホスピタリティー、侮るべからず。
久々に胃も心もたっぷりと満たされた夜ではあった。

食後はお茶とアラブ・コーヒーが飲み放題。
デザートのアラブ風ミルクプリン「マハラベイヤ」も、しっかりとバラ水を使った上品な味わい。

あとでジアードさんと話していて、週末の料金体系は「ベリーダンスだけ見にきて、ビールにおつまみくらいで粘る下品なオヤジがいるから」ということがわかった。
確かに、このエリアは二区画ほど離れると、堂々たる「紅い灯〜青い灯〜」エリアなので、そういうこともあるかもしれない。

また、少量を三種類ほど上品に盛り付けるスタイルは「日本人向けアレンジ」との由。
「ちょっとちょっと、いろいろ出しても、
日本人知らないし慣れてないから、みんなゴミ。もったいないよ」

というわけで、現地経験を懐かしみたい向きは、週末の場合は事前申告しておくと良いかもしれない。
もちろん「アラブ料理を食べてみたい」という「体験派」は、コースがお勧めである。

金土以外は、平常メニューで、前菜は常時30種類はスタンバイさせているそうだ。
今度は週日にまた行こう!
「なにか食べたいものがあったら、電話して言ってね」とのこと。
「モロヘイヤ・スープ作るよ!」

尚、この店にはレバノン産「アラク」がある。
ワインはチュニジア産かモロッコ産が主体だ。

で・・・写真を撮ってこようと思っていたが、気がついたらお腹をポンポンと叩きながらの帰り道。

みなさん、すみません。
以下URLをせめてご参照ください。

http://gourmet.yahoo.co.jp/gourmet/restaurant/Kanto/Kanagawa/guide/0204/U0002131836.html


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アル・アイン最寄駅:日ノ出町 / 関内 / 伊勢佐木長者町 / 阪東橋料理:エスニック一般採点:★★★★★一人当たりの支払額(税込み):3,000円〜5,000円用途:夕食 レバノン料理の名店。 シェフは元クウェート大使館で7年間料理長を務めた。 日本にあるアラブ料理系....
レバノン料理『アル・アイン』【横浜ほにゃらら日記】at 2006年03月08日 19:04
この記事へのコメント
はじめまして!「アル・アイン」につられて遊びにきました。
レバノン料理、大好きです。ちなみに私はタッブーラが大好きです♪

私も、「アル・アイン」もジアードさんも大好きで、よく行きます♪(コース料理じゃない平日に行くことが多いです。)
ジアードさんとのお話も、アラブ人のお客さんとおしゃべりするのも、楽しくて、ついつい長居をしてしまいます^^;

他の記事もこれから読ませていただきますね。
Posted by SuuSuu at 2005年09月08日 01:29
コメント&TBありがとうございました。
つたないブログをブックマークしていただき、ありがとうございます。
私も『中東ぶらぶら回想記』お気に入りに登録させてもらいますね♪
Posted by SuuSuu at 2005年09月09日 10:50
SuuSuuさま

どうもありがとうございます。
これをご縁によろしくお願いします。
Posted by アリーマ at 2005年09月09日 12:36

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