2008年01月18日

香港ぶらぶら雑感記 其の二 〜ホテルの部屋割りについて〜

今回の旅行では、ホテルは日本から手配していった。
旅行代理店勤務の友人に値段が安いところを数軒選んでもらって、なんだか街中だなあという印象のホテルを選んだ。
海だ山だと自然に親しむのが目的でなければ、とりあえず街から離れていないほうが足回りが良い。うちの夫婦はなんとなく二人で出かけても途中で別行動になることがよくあるし、別々に出かけて後で待ち合わせるのにも、ホテルが街中ならば部屋に戻ってくればよいので面倒くさくない。

いや、ちゃんと地図が読めて常人並みの方向感覚があれば、そういうことまで考えなくっても良いのだが、なにしろ私は世界で二番目に酷い方向音痴なのである。
本当は世界最悪だと思っていたけれど、結婚して自分より酷い人類がいるのを知ってそうとうがっくりきたものだ。
どうでもいいけど「メカ音痴」も同様。

まだうら若き未婚の時代、「結婚すれば道と機械で困らなくてすむようになる・・・♪」という実に美しい期待と夢を胸に抱いていた。
結婚に夢を描くようなカワイラシイところはなかったが、そこんとこだけはなんとか、と願い信じていたのである。
こういう日和見は、神の試練を呼ぶらしい。
たったそれだけの夢を、何故完膚なきまでに壊したもうたか、ああ神よ。
「甘えんな」ということだろうか。そうだろうな。

さて「ホテル裏話」をここで一つ。
馬鹿馬鹿しい話で旅行記ですらないのだけれど、なんとなく思い出しついでに書いておく。ご参考までに。

ホテルにチェックインして部屋に入った。
部屋が何処にあるのかよくわからなくて軽く嫌な予感がしたのだが、案の定これがちょうどエレベーターの真横、というよりむしろ「真裏」にある部屋だった。
小さめのダブルベッドが一つ、部屋の真ん中においてある。
ダブルなので「お二人様用」と言い張れば言い通せる部屋だ・・・が、しかし・・・。

なまじ元がホテルの人間だったので、チェックインでごった返すロビーの風景とともに、悲しいかなストーリーが全部読めてしまった。
ドアに張ってある避難経路などを示したフロアプランを見ても、これは「添乗員乃至はとても運の悪い客」に振るべき部屋、つまり「スカ部屋」なのだ。
トランプで言えば「ババヌキのババ」。

まずそもそも、エレベーターの真横の部屋は、かなりしっかりした作りの一流ホテルでも案外音が耳につくことが多い。
もちろん世界中どこのホテルでも同じだ、ということでは決してないのだが、程度の差こそあれ廊下の人の出入りや、ホテルの構造によってはエレベーターの音などまでが耳につくことがよくある。
この辺の感じ方は個人差があるので気にならない人も結構いるが、自分が夜寝るときなど周囲の音に神経質なほうだという自覚があったら「エレベーター真横は避けてほしい」というリクエストを出したほうがよいかもしれない。
どうせ出すなら事前の予約時に言っておいたほうがよさそうではあるが、この辺は結構微妙なもので、ホテルによってはおっそろしくワンフロアの廊下が長いところもある。
しかもこういう「スカ部屋」が廊下の端にある場合もある。
だから、忙しい人はチェックインの段階で「エレベーターの真横は避けてほしい」という希望を伝える程度にするのがとりあえず無難ではある。
我々のような暇人はとりあえず部屋に上がるが。

さて、読めてしまったストーリーとは、以下の通りだ。

1.この日、このホテルは満室だ(→あとで聞いたら「オーバーブックしていた」そうだ。かわいそうな深夜着の客が何組か、近隣のホテルに送られたはずである)。
1.満室ということは、ホテルのありとあらゆる部屋をうまく割り振らないといけない。
1.本来は添乗員や一人客に回すような部屋だって、ナンダカンダと二人突っ込む算段を考えなければいけない。
1.しかし、こういう部屋に体のでかい欧米系の夫婦などを突っ込んだら、即座にフロントに戻ってきて暴れまくられるのが目に見えている。その点、日本人は体が小さいし(うちのオットは日本人としては完全に規格外なのだが、そこまで予測しているはずがない)、おとなしいのであまり不満を言わないはずだ。
1.日本人ならば、とりあえず欧米系のようにクレーム大爆発の危険性は薄い。
但し、法人契約などのある現地企業からの予約客にうっかりこういうことをすると、ホテルで暴れなくても現地で手配した担当者にクレームが入ったりして、あとの取引に障りが出かねないので、これは避けなければいけない。
1.現地のオペレーターのアテンドがつくツアーグループの場合は、やはりクレームになりやすい。これもアウト。

・・・で、我々の場合は「レジャーできた個人客。日本人。アテンドなし」だ。
爾後のビジネス取引に支障はなく、予約元から怒鳴り込まれても大方「ゴメン」ですむ。
しかも、レートを安く上げるために全額前払いのバウチャー持参なので、いくら暴れてもホテルの変更は不可能。出て行ってくれるならば、事前支払い分を全て掛け捨てにせざるをえない。
こういう状況のホテルにしてみればむしろ嬉しいくらいだ。

このように書くと、このホテルは極悪非道で悪辣に思えるかもしれないが、こういう日のフロント責任者に課せられた使命は「なんとかしてこのスカ部屋を穏便にどこかの客に押し付けること」だ。まさにトランプのババヌキの世界。
お客様全ての満足よりも優先させるべき責務を背負って、つらい一日を過ごしているのである。
上手なババヌキが、その日の仕事の全てといってもよい。
そもそも、我々の払っている宿泊料は部屋タイプ指定のあるものではないので、ホテル側に原則部屋の割り振りを決める権利がある。
だから、こういうことがあっても大声で怒り狂う権利まではない。
この場合は、まず「お願い」から始めるのが無難だ。

それにしても、一泊で出て行くならともかく、三泊しようという客(ワレワレ)にババを抜かせるなんてあまり感心しない部屋割りではある。
ホテル・ビジネスは一応「ホスピタリティー・ビジネス」なのだからね。

とりあえずフロントに電話をかける。
なんといって状況を説明するのが一番穏便にコトが進むのかなあ、とちょっと考えて、小賢しくて鬱陶しいようだが本当のことを言ってしまうことにした。

小薀蓄をたれるようで気が引けるが、こういうクレームをつけるときに感情的になってもろくなことはない。
多少英語の出来る日本人ゲストが「現地人スタッフ」を居丈高に罵っているのを見たこともあるが、こうなるともう相手のホスピタリティーは引き出せない。
自分も気分が悪くなるので、いいことなしだ。

フロントに電話して、チェックインを担当してくれた日本人のスタッフに
「こういう日に文句を言って申し訳ないけど、この部屋なんとかしてくれませんかねえ」と、頼むことにした。
「私、あんまり言いたくないけど、実は元ホテル業界の人間なのですよ」と付け加えた。
「どうせババヌキをやるんなら、別のお客さん相手にやってもらえないかなあ。
私たちは三泊もするけど、夜遅く来て明日出て行くような人もいるでしょう」

別にフロントの責任者に言っても良いのだけれど、まあとりあえずは現場で処理してもらうほうが丸く収まることもあるのだ。
その段階で埒が明かなかったり、対応に誠意がなかったりした場合には、正式なクレームとして責任者を呼び出せばよい。

結果、速効でもっと広いまともな部屋が出てきた。
さっさと部屋を取り替えてくれた以上、感謝こそすれ不満はもうない。

付け加えると、このホテルの日本人スタッフのMさんには、その後大変親切にしてもらって、大変ありがたかった。

以上のストーリーを反芻すると、妙に可笑しくなってくる。
こういうババヌキ話はすっかり忘れていたので、一瞬だけれども懐かしさまで覚えてしまった。
忘れた頃にババを引く、かあ・・・などと、感慨すらあった。

部屋替えの間に街に出た。

看板気のせいかもしれないが
香港の看板はむやみに巨大で
字も馬鹿馬鹿しく大きい。
オットにそう言ったら
「香港の人は目が悪いのだろう」と・・・
いや、そこじゃないと思うんだけれどなあ。


本当のところ実寸で図ったらどうなのか、ちょっと気になるところではある。  

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2008年01月13日

香港ぶらぶら雑感記 其の一 〜摩天楼が怖い・・・〜

どこが「中東ぶらぶら」だ?!という内容が最近多い。
一応反省とともに自覚はしているのである。
ごめんなさい。
今年もこんな調子でやっていくことになりそうな予感はするものの、細々とでも継続予定なので、たまにお付き合いいただければ何より幸い。
よろしくお願いします。

だから、というのも変だが、外れついでに年末年始に出かけた香港・マカオの旅行雑感など。
他人の物見遊山の話など、本来面白くもなんともないものだとは思うけれど、たまにエジプトなどを思うこともあったので「雑記」ということで書いておこうと思う。

おかしなもので、どこかで何か変わった物や事態に遭遇すると、何故かカイロをつい思い浮かべて比較対照している自分がいる。
東京や横浜はその次だ。
一体何がこの身に染み付いたのかわからないが、反射的にそうなる。
今回しみじみと実感した。

食べ物関係に関心ある向きは、別ブログ御参照のこと。
旅行というよりも、単に場所を変えて中華を喰い散らして歩いただけなので、喰い意地至上主義な日常生活の延長。
中華圏に関しては果てしなく無知なので、本当に口を半分あけてのどやかに「ありゃ、こんなところにあんなもんが」と思ってオシマイ。
なんら深い洞察も知見もない。
あるはずもないが。

さて、以前香港の空港と言えば、密集したビルの群れに突っ込んでいく怖さで悪名高かった。
20年ほど前に行ったとき、確かにこりゃあ怖いと思ったものだ。
通り過ぎるビルの中でどこかの家族が食べてる夕食のおかずがわかるような距離感で、なんと飛行機が滑走路に入るのだ。
あの時見えたような気がした鶏のローストは、たぶん錯覚なのだと思うけれど。

1998年に新空港になったそうで、今回はごく普通の空港だった。
昼間でもあって、羽田に着くのと感覚的に大差ない。

しかし、街に向かうバスが走り始めて街が近づくにつれて、なにやら堪らない耐えられないようなムズ痒さが体を這い回り始めた。
遠景に見える林立するビル群が、なんともいえずキモチワルイのである。
生理的な拒否感、とでもいうのだろうか。
ナンダコレは、と不思議な気分になる。

ごちゃごちゃ混んだ街といえば、カイロにしてもイスタンブルにしても、生まれ育った東京にしても似たようなものだ。
「ああ、都会だな」という印象以外のものは感じない。
20年前の香港でもそんなものだった。

カイロの街に20年前に初めて入ったときなど、奇妙に心安らぐのんびりムードまで感じたほどだし、ソウルに行けば毎度説明のつかない懐かしさまで感じる。

遠景に街を眺めて「キモチワルイよう」などと思ったのは、ひょっとしたら初めてかもしれない。

具体的にナニが?、とキモチ悪さを堪えて眺めながら考えた。
どうもビルがひょろひょろと細長くて頼りないかららしい。
それが、痩せた針葉樹林のように密生している。
ううう。

例えばカイロにもボロいビルは結構建っていて、実際地震があると簡単に崩れて瓦礫の山になったりするものも多い。
多い、などと簡単に書くと叱られそうだが、現地で建てる過程を見ていると「さもありなん」と思う。耐震構造云々など明らかに観念外で、一部の高級高層建築を除けばとりあえず下から階を積んでいって、ある程度できたら住み始めてしまうパターンに見える。

しかし、こういった「古くてぼろいビル」の場合、高さもたかが知れているのである。高くたって20階がいいところだ。
高所恐怖症傾向がある私には、十分すぎるほど高くてツライが、まあまあなんとか耐えられなくもない。
そこに住め、とか、窓から半身を乗り出して両手を振ってみろ、とか言われさえしなければ。

香港のビルも多分カイロと似たような高さに違いないのだが、一体どうしてこうムズカユイのか・・・とさらに堪えて眺めていてわかった。
底面積が圧倒的に小さいのだ。
どう見ても5階建てがせいぜいではないか、と見えるビルが20階建てくらいになっているから、ものすごく心許ない感じになる。
ああ、コワイ。

話がずれるが、最近通っている鍼灸の治療院は、横浜中華街のとある怪しげなビルの中にある。年が明けて「香港とは怖いところである」という話の例で、そこの先生に「このビル(6階建て)が20階建てになったようなのが、うじゃうじゃ並んでいるんです」といったら、先生は身を震わせて「考えたくもないなあ」といっていた。
そんなところを想像すると、私もつい脊椎の末端部がキュッと収縮するような気分になる。

怖くてどうもカメラを向ける気にもならなかったが、まあ例えばこんな感じだ。

Happy Valley宿泊ホテル近辺。
前が広々した競馬場だったので
比較的心穏やかに見ていられる風景ではある。
でも、斜面地にニョキニョキ建つ
細長いビルの影がやっぱり怖い。

変なビルなんじゃあ、こりゃあぁぁ!
と、思わず叫んでから
慌ててシャッターを切った。
ちょっと遅かったが・・・
このビルの底部にご注目を。

このビル、下に普通の平たい建物があって、その上に乗っかった構造なのだが・・・一体どういう理由で「つながり部分」を細くシェイプしなければいけないのかっ?!
嗚呼、よくわからない・・・。

薄いビル正面から見ると大きなビルだが
横に回ると映画セットの書割のように
不気味に薄っぺらい建物。
しかも斜面地に建っている。
間違ってもこんなビルに入居したくない。

このままではわかりにくい。
「なんで?どこが?」と思ったら、クリックして写真を拡大してみてください。

20年前の香港で何も感じなかったのは、上に目をやる気持ちの余裕がなかったからだろうか?
それとも私自身の生理的感覚が、20年の間に変わってしまったのか?
ソウルを見てもカイロを見ても他のどこの街を見ても、20年前と生理的に感じるものが大きく変化した、ということはないのだけれどもなあ。

香港自体がニョッキリと、全体に上に向かって伸びたのかもしれない。
成長する剣山のイメージ・・・しかも座りが悪くて倒れそうな・・・と考えて、先端恐怖症の傾向もある私はどうも具合が悪くなってくる。
まったく「摩天楼」とはよく言ったものだ。

ゴジラやガメラやウルトラマンが出てきて暴れられたのは、昭和中期の東京だったからだよねえ、混んでるようでまだスペースがあったねえ・・・などなど、どうでもいいことを考えるうちに、街に入って少し落ち着く。

遠景は怖いが、中に入ってしまえば単なる都会の雑踏だ。
混雑はキライだが、少なくとも生理的な恐怖感は消えてほっとした。
「とりあえず、むやみに上を見ないこと」と自分に言い聞かせながら、バスを降りてホテルに入る。

食べるもののことだけ考えていれば、とりあえず気がまぎれるので(?)、街に出てガツガツといきなり大食をした。  
Posted by arimaburabura at 20:45Comments(6)TrackBack(0) | Amazon.co.jp | 楽天市場 | ブログ