2006年12月17日

正しい和食の認定制度・・・?

農林水産省が、アメリカで「海外日本食認証制度」を始めるんだとやら。

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「正しい日本食」と言われても、じゃあなにをもって正しいとするのだろうか。
皆が抱く素朴な疑問だろう。

そもそも、そんなことはアメリカだから可能なのだなあ、と、カイロのころを思い出して
しみじみしてしまった。

例えば、カイロに住みはじめるまでは、
「茶色くなったマグロなど、寿司ネタとして許してはいけない」と思っていたが、
「紫色でなければ可」という妥協線が生まれたことがある。

どっちにしろ、韓国料理の数倍の料金を払って、なんだってわざわざこんなものを食べねばいけないのだろうか・・・と思うことしきりだった。
結局、お付き合いで止むを得ないとき以外は近寄らなくなったが、この数軒あった日本食レストランが全て、日本人経営のものだったのだ。

場所柄、どうしても材料が思うように手に入らない、というハンディはあったと思うが、それにしてみても韓国料理のレストランははるかに安価に、且つかなり努力の感じられるものを出していたのだから、日本食の方がなんと騒ごうと、やっぱり努力不足は明らかだった。

高くても美味しければ、それなりに存在意義はあるけれど、日本人の旅行者や在住者のホームシックに付け込んで、やけに値段ばかり高い店がどうも目立つ気がする。

これはカイロに限った話ではない。
日本帰国後に一度、夫とサイパンに出かけたとき、現地の食事のひどさに閉口してげんなりしたことがある。
世界中どこへ行っても、日本食のレストランに行こうなどとはまず思わないのだが、流石にちょっと参った。
で、日本人がこれだけ来ていることだし、せめて日本食くらいはましなのでは・・・と出かけたら、再び色の変わったマグロと遭遇。
二品で注文をストップしたことがある。
ほうほうの体で逃げてきたが、なんだかカイロを懐かしく思い出すような店だった。
ちょっとしみじみした。

結局、レストランの経営者のやる気と努力の問題なのだ、と思う。
イスタンブルなど、最近はよくわからないが、カイロにいたのと同じころに二軒、高いなりに努力している日本食のレストランは確かにあったから、そうとしか思えない。

最近のカイロ市内のレストラン・リストをみていたら、結構新旧交代したらしいので、今はどうなっているのかわからないが、今でも同じ顔ぶれが同じような店をやっていたら、結構面白いことになったことだろう。
なにしろ、某元女性大臣のご両親経営のレストランもあったりしたのだ。

まあ「ここの日本食は、日本政府のお墨付きです」程度の話ならば、馬鹿馬鹿しいけれど好きにすれば・・・とは思う。
例えば、日本のタイ料理のレストランが「この店はタイ政府お墨付き」と看板に上げるようなものだろうか。
これこそ、インド人もびっくり!なライスカレーの類に、インド政府が不満の声を上げて「これはインド料理ではない!」と断ずるような話だろうか。

こう考えると、本当に馬鹿馬鹿しい。
海外の料理を真似て、似て非なる「和風料理」を創作するのは、本来日本のお家芸だったように思うが、逆に向こうが真似して「カリフォルニアロール」なんかを喜んで食べはじめると「嘆かわしい」などと言い出す・・・度量が狭い話だ。

同じ税金を使うなら、例えば、世界各国に指導力と語学力と、きちんとした技術力のある日本人の料理人を派遣するなり、もっと広い意味での文化交流につながる活動に向けられないのか?

無理なのかなあ・・・?

おかしなニュースをきいて、なんとはなしに懐かしい話を併せて思い出した次第である。
  

Posted by arimaburabura at 13:47Comments(6)TrackBack(1) | Amazon.co.jp | 楽天市場 | ブログ