2006年08月31日

ラムセス二世のお引越し 「ニュースのお時間です」


「巨大なラムセス2世像が引っ越し=カイロ市民見送る」というニュース。
なんだかこのタイトルだと、カイロからラムセス二世像がいなくなってしまうような感じがする。

ちょっと説明を加えると、日本で一般に「カイロ」と考えられている「ギザのピラミッド」も含めた都市の中心部は、ナイル川を挟んで東西に住所表記上のエリア名が「カイロ地区」と「ギザ地区」に分けられているのだ。

だから、カイロ地区の中心、ラムセス中央駅の前に50年以上置かれていたラムセス二世像が、川を超えて反対側のギザ地区に渡り、ギザ地区外れにある「ピラミッドのそば」にお引越し、ということ。
カイロの住民にしてみれば、ナセル元大統領が共和国を設立した時代以来、街の中心のシンボルだった巨像がなくなるので、非常に寂しいものがあるだろう。
でも、なにしろ空気汚染激しくて像の損傷がひどいので、実は1997年には既に引越ししていたはずだったものが、この日まで延びた次第・・・まあ、何事もそんなペースだから、特に驚きはない。

でも、実は観光コースでは、通りすがりざまに「あ、左手にラムセス中央駅がありまして、ラムセス二世像が見えま〜す」程度の説明で通り過ぎる像が、もうちょっと観光地らしきところに引っ越してくるから、見るポイントが増えてよいのだろうか?

詳しくは以下を参照。
livedoor ニュース


こんな写真も。
凄い渋滞だったろうなあ・・・。

ここが出発地点。
背後に、エジプト鉄道の起点、ラムセス中央駅が見える。

この駅、実は19世紀半ばにイギリス人が設計して建てられたもので、ヨーロッパの古い鉄道駅の雰囲気を今でも残しているもの。
なかなか洒落た駅なのではある。

鉄道マニアなら、内部に博物館もあるというし、足を運んでみたいところかも知れない。

でも、一般のツアーの場合は残念ながら素通りで、鉄道を利用する場合も、次の「ギザ駅」という小さな駅から乗り降りする。
ラムシス中央駅近辺は、交通渋滞がすさまじくて大型バスが入り込む隙間などないからだ。

さて、像の引っ越し先は、ギザのピラミッド近くに建設中の「グランド・ミュージアム」ということなのだが、2007年完成と言われながら(当然誰一人信じていなかったにせよ)、2010年に延びて、いったいいつ開くのかは神のみぞ知る。

その間、どこに置いておくのだろう?
建設予定地だろうか??
ご存知の方、教えてください。

  

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2006年08月29日

連載、再開します

西日本にお住まいの某E殿下のご配慮で「湿気休載」という、意味不明な理由で休載していた『軍事情報』の連載ですが、今週は配信できる予定です(インシャアッラー)。

今後のペースは隔週を基本に、と思っていますが、中東関連でなにか特にとり上げてほしいトピックなどあれば、是非お知らせください。

私が当たり前だと思い込んでいることが、意外にそうでないことがありますし、馬鹿馬鹿しいくらいシンプルなことが、実はかなり文化の本質に迫ってくることもあります(書ける内容は、私の頭で追いつく限りのもの・・・ということではありますが)。

なんでも全て、というわけには行かないかもしれませんが「こんな話を聞いてみたい」と思ったら、こちらのコメントにどんどん書き込んでください。

連載記事のほうも、少しスタンスを変えてみようかな、と試行錯誤中です。

ご意見ご感想など、歓迎いたします。

連載は、メールマガジン『軍事情報』の別冊連載という形で配信しています。

尚『軍事情報』配信のご登録は、ブログ左上からどうぞ。

「まぐまぐ」からの配信になります。

私の連載は、こちらの「オマケ」なのであります。

よろしくどうぞ。

  
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2006年08月26日

露草

露草夏も盛りになると、花が一気に少なくなるが、朝型から昼頃までは露草が咲いている。

「蛍草」「藍花」「青花」「移草」「月草」などなど、色々な名で呼ばれるが、「青い色がつきやすいが褪せやすい」ということで、古来「儚さ」を思わせる花だ。

儚げな姿とは対照的に、実にどこにでもよく根を張って咲く。
女性のタイプとしては、好みがわかれるところなのだろうか?

さて、一転して英語名はと言えば"Wandering Jew"ときた。
さまよえるユダヤ人?
はてさて・・・。

花を見る心の、彼我の相違を感じてしまう。

露、といえば、露草とは関係ないけれど、思い出されるのは『伊勢物語』の一首。

「白玉かなにぞと人の問ひし時 露とこたへて消えなましものを」

とある恋仲のお姫さまを浚って逃げた男。
途中、このお姫さまが、朝まだきの露をみて「これはなあに?」と問いかけたけれど、返事もせずに逃げるのに必死。
一夜、仮の塒に恋人を寝せて、自分は入り口で番をしていたつもりが、ふと気づけば姫は鬼に喰われてしまっていた・・・というお話。

あの時「あれは露だよ」といって私も消えてしまいたかった、とうたっているのですが、実の所は、お姫様は家族に連れ戻されてしまって、ご本人とされる在原業平が嘆き節を一首、というのが本当のところだそうな。

まつわるエピソードも、かなりしぶといものではありますね。




  
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2006年08月23日

虫喰いについて

(*注意*: 以下は、冗談抜きな「ゲテモノ食い話」になるので、そういうものが弱い方は、ここで読むのをやめておくことをオススメします。
本人書いていてぞっとしないんで、悪い夢を見たくなければやめておいてください。
読んでしまった方は、書いた私を恨まないで下さい。
一応、ご注意申し上げて、主題に参ります)


先日、横浜某所で「蚕のさなぎの串焼き」を食べた。
別に好きで食べたわけではないし、是非また食べたいとも思わない(きっぱり)。

ただそのとき、同じメイドを使っていた御縁などもあって、昔カイロで何度かご一緒した作家の田中真知氏が、ザイールに行った時の話を思い出した。

まあ、中東と関係もないけど、食文化の一例、ということでご紹介しておく。

横浜での顛末は、以下を御参照のほど・・・。
http://honyarara.livedoor.biz/archives/50651582.html

田中さんは、新婚旅行がスーダンはカルツームだったという人だ。
そしてあるとき奥様と一緒に、カヌーでコンゴ川を下る、という旅に出た。

途中までは、大きな客船で移動したそうだ。
客船といえども「いつ来るかわからぬ謎の船」なのだそうで、来るそのときまでナントナク何日でも待つ、というシステム(?)だとか。

「来るぞ!」という情報は、太鼓の音で伝言ゲーム式に伝達されてくる。
ホレ、来るよ、といわれて河岸で待っていると、本当にしばらくして出現するそうだ。

乗り込むと、色々なものを売りに、船のまわりにボートが群がってくる。
食料品ももちろんあって、その中に「生きた芋虫」(キロ単位で売っている)、猿の燻製などなど、なんともいえぬアイテムもある。

芋虫の食べ方は、蚕のさなぎと同じようなもので、焼いたり茹でたり揚げたりする。
出来上がり品ももちろん串に刺したりして売ってるが「生きてるほうが長持ちする(冷蔵庫なんぞない環境だ)」ので、生きているものを買い求める人々が結構いたとやら。
大きさは、蚕のさなぎよりひとまわり大きい。
赤ん坊の拳くらい、なのだろうか・・・?

猿の燻製の場合は、なんともたまらんことに「苦しみもがいた死相」までリアルに浮かんだ姿で売っているそうだ。
こうなってくると、人類に近いだけに、慣れぬ日本人には相当辛い光景らしい。

中国あたりは「美味美食」のために、相当珍奇なものを食するそうだが、アフリカ大陸ではまた事情が違うのではあろう。
でも、現地の人たちは好んで喜んで食べているというから、所変われば・・・なのだろうか?

尚、田中さんの旅の話やエッセイなどは、大変面白い。
是非御一読をお勧めする。


アフリカ旅物語 中南部編


アフリカ旅物語〈北東部編〉


ある夜、ピラミッドで


  
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2006年08月22日

カルツームのファーストフード店

私設特派員、この日のお昼ご飯は「高級ファーストフード」です。

カルツーム ファーストフード店3メニューは、サンドイッチ中心。
結構色々な姿の人がいます。
洋装の人は、長袖が目立ちます。
白いターバンに白いガラベイヤは現地に特有のもの。

椅子やテーブルの様子など見ると、確かにちょっといいお店のようです。



カルツーム ファーストフード店2女性は別席、という国も多い中、ここは同席可のようです。

衣服はカイロとあまり変わらないように思えます。
若干アフリカ風なイメージですが。

こちらと比べてみてください(カイロの高級住宅街です)。


カルツーム ファーストフード店添えられている青い野菜は、エジプトで「ガルギール」といわれるもの。
日本ではイタリアンなどでよく出てくる、ルッコラの香りをもっと強烈にしたような野菜。
栄養満点ですが、イタリアのものよりもちょっとくせがあります。


本当は、こういうローカルな店で生野菜の生食はお勧めできません。
本人は「懐かしい味だった」と喜んでいましたが、よいこの皆さんは真似をしないで下さい。

サンドイッチ二種。
手前は現地のチーズを挟んだもの。
奥ははっきりわかりませんが、カイロで良く食べる「ターメイヤ」のような、豆のコロッケかな?、と思います。

「食事はホテルでして下さいね」というワタシのアドバイスは、キレイさっぱり忘れ去られているようですが、六月の炎天下を過ごして元気で帰ってきています。

人類にも色々な種類があります。
だれがやっても大丈夫、ということではないと思いますので、現地に行かれる方は
お気をつけ下さい。
  
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2006年08月19日

国際交流基金主催『中東理解講座』 参加受付中

国際交流基金の上記講座、現在受付中です。
詳細は以下の通りです。

毎週水曜日はじっくりと聞く機会の少ない、エジプトの農村地帯の実情、コプト教徒の現状など、エジプトの社会内部の多肢にわたる話題を、金曜日にはイスラームにまつわる諸事情ということで、特に昨今注目の高まっている、欧米各国に日本も含めたイスラーム系移民の現状、アジアのムスリム事情など、興味深いテーマが満載です。

■中東理解講座■
 水曜日「エジプトはナイルの賜物:歴史の多層性と地域の多様性」(全10回)
 金曜日「グローバル化するイスラーム(2)」(全10回)
 http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/tyutorikai/
 日時:9月26日(火)〜12月19日(火) 19:00〜20:30 各講座週1回
 会場:ジャパンファウンデーション国際会議場(赤坂)

以下も併せて、ご参照ください。

http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/tyutorikai/#2

以上、お知らせまで。  
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2006年08月18日

四谷『エル・サラーヤ』でエジプト料理

四季の移り変わりを感じにくいエジプトで、やはり夏の風物詩といえば「モロヘイヤ」だろう。
厳密にいえば「初夏から夏の初め」くらいがピークで、後は硬くなってしまうのだが、八百屋や町の露天売りにモロヘイヤが出始めると暑くなり、あれ、見かけないなと思うとなんだか涼しくなっている。

レシピは先日もご紹介したが、各家庭、各レストランで色々だ。

東京は四谷に、エジプト料理の専門店が一年ほど前にオープンした。
前から一度いってみようと思っていたので、モロヘイヤ食べたさに横浜からオデカケ。

詳しくは以下をご参照くださいまし。

http://honyarara.livedoor.biz/archives/50643901.html

ところで、現地エジプトで「モロヘイヤが食べたい!」となっても、意外に出している店が少ない。
シシカバブのような、特殊な設備がいるものは別として、エジプト人は基本的にあまり外食しないからだ。

モロヘイヤの料理となると、これは完全に家庭料理の範疇で、現地のエジプト人は
「家で食べるもの」と思っている。
うちのカアサンの作るやつが一番ウマイのに、なんだって外で高い金を出して食べねばならんのだ、ということだ。

だから、外国人がこれにありつくには、先日ご紹介したカイロはダウンタウンの
アラベスク』とか、一部高級ホテルのアラカルトメニューに限られてくる。
そうでなければ、エジプト人の家庭に招かれるしかない。

(尚、その他レストランで出しているところがあったら、ご一報を!
私の情報は何しろ古いので)。

さて、そして、こういうと申し訳ないが、やっぱり家庭が一番なのではある。
その代わり、とにかく大量に出すのが彼の地のホスピタリティーであり、出されたものを山ほど食べるのが答礼になるので、美味いは美味いが「わんこモロヘイヤ状態」を覚悟の上で臨まれたし・・・。

エジプトの家庭料理は、レバノンやトルコと比較すると繊細さや微妙な味わいなどでは落ちるものの、やっぱり「おふくろの味」の和やかさはよいものだ。

また、クセが薄いので、日本人には食べやすい料理が多い。
さんざん馬鹿にしてきたくせに、やはりときたま無性に、あの素朴さが懐かしくなる。

懐かしさと美味美食は、やはり違うところにあるのかなあ、とこの頃思う。  
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2006年08月17日

蓮古代エジプトの植物と言えば、パピルス(和名:カミガヤツリ)とロータス(蓮)だ。
パピルスは下エジプトを、ロータスは上エジプトをそれぞれ象徴する花で、この二つの花を象った王冠を、頭上に重ねて戴くことが、かつてのファラオの象徴的な姿だった。



カイロ考古学博物館前カイロ考古学博物館の庭の池には、中央にパピルスが、それを囲んで蓮が植えられている(写真はOsiris Expressより借用)。


ただし、この場合のロータス(lotus)は、日本でいう「蓮」はちょっと種類が違い、
むしろ「睡蓮(waterlily)」に近いものだ。
モネの連作でも知られている花だ。

西と東で品種が違う、ということである。


日本でいう蓮は「はちす」とも呼ばれる。
これは姿の通り、花の咲きおわりの姿が「蜂の巣」に似ているところから来ている。
根はいわゆる「レンコン(蓮根)」で食用となり、実は漢方で珍重されていて、体の熱をとり、心臓や腎臓、夏バテに効く、とされている。

別のブログでご紹介した「白キクラゲと蓮の実のデザート」などは、まさに薬膳なのだ。

さて、花の写真は三年前に伊豆で撮影したもの。
それまで睡蓮しかみたことがなかったのだが、初めてこの頼もしい大輪の蓮をみて、
平家物語で戦死した夫、通盛の後を追って海に身を投げた小宰相の

「あかで別れし妹背の仲、ふたたびかならず同じ蓮に迎へ給へ」

という節の意味がわかった。

あれをみるまで「二人のったら沈んじゃうんじゃないか」と、妙に頼りない気分だったのだ。

美しくも頼もしい、夏の花だ。
近所のどこにでもある、というわけでないのが寂しいのだけれど。  
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2006年08月16日

砂嵐のカルツーム

スーダンでは、砂嵐を「ハブーグ」と呼ぶそうだ。
カイロでは「ハムシーン」。
各地で呼び名は違う。

カルツームでは、六月頃によくあるそうで、たまたま夫の滞在中に一度強烈なのが来た。
カイロのハムシーンよりも、重くて厚い感じがしたそうだ。

スーダン ハブーグ来襲中でもまあ、今回のは街が歩ける分ましなほうなのかなあ、と思う。
カイロでひとたび「凄いやつ」が来ると、目をあけて前を歩けないし、風で吹き飛ばされそうな勢いなので、外など歩けなかった。

確かに人通りは減って、砂塵が空を覆うので薄暗くなる。
面白いのは、そのおかげで陽射しが弱まるから、真夏の暑い盛りでも少し気温が下がって楽になる、という話。

スーダン ホテルの部屋よりスーダン ホテルの部屋よりヒルトンの部屋から撮影。
高みの見物?

こうしてみると、エジプト同様に、川沿いは緑が濃い。



看板はちょっと絵柄が古めかしいが、何やら若い女性が意外に肌の出た格好をしている。
この看板、読み解けた方、是非教えてください。

黄色い車はタクシーらしい。

ところで、砂嵐はエジプトだと3月頃に多い。
「だから、三月のエジプト旅行は避けたほうがいいのでしょうか?」という声をよく聞く。
簡単に例えてしまうと、これは「九月の日本は台風が多いから、旅行は避けたほうがよいでしょうか」という質問と似たり寄ったりだ。

確かに砂嵐の直撃(特に強力なやつ)が来ると、交通機関は全面ストップするわ、外は歩けないわで、大変な思いをするが、別に毎日毎日、というわけではない。
日本にいて台風直撃にあうのと同じだ。

しかもこの砂嵐は、エジプトの場合は三月だけに限って起きるわけではなくて、一月だろうが五月だろうが、来る時は来る。

実際、まるっきり問題のない日のほうが多い。
日本の秋頃の台風より頻度が低いかもしれない。

だから、是非三月に行きなさい、とはいえないけれど、当たったら当たったで「はあ、これが噂の砂嵐か・・・」と、珍しいものをみた気分になればよろしいのではなかろうか。
お天気のことだけに、私にはなんとも申し上げられないけれど。

カルツーム・ヒルトン ロビーこんな日は、ロビーでサッカーでも見るぞ、と集まってきた人たち。

古めかしい高級ホテル、というイメージ。
確かに、設備の老朽化は激しいけれど、でもここが一番マシなのだそうで。

背中にイングランドの旗を背負ってる人がいるから、これはイングランド戦でしょうか?  
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2006年08月14日

カルツームで魚を食べる

実は6月頃に、我がオット兼私設特派員はスーダンはカルツームにオデカケしておった。
よりによって6月。
実にご苦労なことだ。

そんな写真はさっさと上げればいいのに、なんとなくいままで持ち越してしまった。
スミマセン。

武運長久を祈って、タクシーが見えなくなるまで礼をしていた妻の鏡・・・などはどこにもおらず
「じゃあ、いってらっしゃい。拾い食いするんじゃないのよ」程度で送り出したのはワタシだ。

もうたぶんお馴染みの、朋友にして「中東ジャーナリスト界のパパイヤ鈴木」こと金子貴一によれば「街のレストランなどでの食事は避けた方がいいです。僕ですらホテルなど決まったところ以外では食事はしません」とのこと。

「あの」彼がそこまで言っている、という貴重なアドバイスは、最初にいった時にきちんと伝えてあったのだが、オット本人はホニャララリンと現地のパートナーが行く、普通のローカルレストランで食事をしていたそうである。

まあ、現地のパートナーも教養の高い立派な人だそうだから、ローカルとはいえ衛生状態のよい店を選んでくれていた、の、だろう。
そうに違いない。

今回は、現地で「魚でも食べるか」と、連れていってもらった魚料理のローカルレストランの風景。

毎度のコトながら「なにかをとくに撮る、というのでなくて、その辺の風景を適当によろしく」といってあるので、どこかにピントを絞ったりしていない。
写真はクリックすると拡大するので、皆さんそれぞれの目でみていただければ幸い。

カルツームの魚料理店立て襟の白いガラベイヤ(現地の衣服)は、エジプトのアスワンあたりでよく見かけるが、カルツームでは短いものの下にズボンをはいているのが面白い。
ガラベイヤのよいところは「とにかく風が通って涼しい」と、そこに尽きるのだが、
どうして下にズボンをはいてるんだろうか?
これがお洒落なのかなあ??
わかりません。

背後にこっそり、カメラに向かって手を振ってるおじさんがいます。
なんとなく可愛いですね。
店の入り口では、ビジネスマン風の男性が携帯電話でお話中。
ちょっとした、社会のコントラストに見えます。

カルツームの魚料理店2一番うまそうなのは、パンだ、と思う。
魚は、何らかの魚(たぶんスズキの類じゃなかろうか?)を揚げたものだ。
見た通り。

キュウリのヨーグルト和えは、トルコやレバノンあたりではハーブなどが複雑にはいって、さっぱりと美味しいものだが、アフリカ大陸を進んでゆくと、このように究極にシンプルになります。
塩と赤唐辛子(一味)で食え、と。
質実剛健。

ワタシの別ブログ関係のアミーゴは、アメリカ中西部の食事に音を上げて、ヘロヘロロン状態で帰ってきたが、やっぱりソレは贅沢である!と、思った次第である。
でも、我がオットが食べものへの「質実剛健忍耐我慢」を学んだのも、くしくも同じアメリカ中西部だった。

ワタシは行ったことがないからなんとも言えないが、こういうところにすんだら大変そうだ。

カルツームの魚料理店3お食事風景です。
おそらくテーブルの上には紙のテーブルクロスが敷いてあるようで、骨などの残骸はテーブルにポイポイと放るようす。
一見お行儀悪そうだけれど、床の清潔さにご注目いただきたく・・・。

このへんまで来ると、なんとなく「写真撮られてる」と意識した人が増えてきている。
写真というのは、彼の国では特別なものだから。

こういう風に、勝手にカメラを意識している場合は別だけれど、お願いして撮らせてもらった写真は、できるだけ現地に送ってあげたいものですね。
そういうところに限って、案外住所はシンプルだったりしますし。

尚、見ておわかりの通り、エアコンなどというものは「ない」。

ところで、なにか強烈な病に倒れて、妻が現地に呼び出されたら、いつでも動けるようスタンバイしてはいるのだ。

・・・が、実際に、無茶苦茶な強行スケジュールで疲労しきったオットが、カルツーム現地で体調を崩すことは一切なかったようだ。

なにしろ、うちのオットの売り物は
「往時のアントニオ猪木ばりの蛇のような回復力」
なので、よいこの皆さんは決して真似をしないで下さい、と、一応申し添えておく。

まるで日常の風景ですが、なにか気になること、気がつかれたことなどあれば、是非お知らせくださいまし。

(続く)  
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2006年08月12日

モロヘイヤ専用包丁(高級品)

もう出盛りになったモロヘイヤ。
エジプトでは初夏から夏にかけてよく食べます。

この料理で一番大変なのが、葉っぱをむしって細かく刻む作業。
最近は現地でも、フードプロセッサーなんて便利ものも出回っているようだけれど、
やはり庶民はひたすらひたすら刻みます。

うまくしたもので、エジプト現地では「モロヘイヤ刻み専用包丁」がちゃんとあります。


モロヘイヤ包丁 カバー付き古典的には、小型の半月刀みたいなものに持ち手を両側につけた形が一般的だけど、先日お土産にその「高級品バージョン」をもらいました。
なんと23エジプトポンド(500円弱くらいでしょうか)。
カバー付きの高級品です!!



モロヘイヤ包丁横ねこバスこれはその中身。
ごく庶民的なものだと、たぶんその半額以下で買えます。

大きさは横25センチくらいでしょうか?
関係ないけど、なんとなく大きさ比較用に置いた「ねこバスのペンケース」は頭から尻尾まで約23センチ。


モロヘイヤ包丁立なんとこの高級品は、取っ手もしっかりとした木でできてるけど、なんと二枚刃!
古典的なやつは一枚刃だから、威力がちがうのだ、と思いますたぶん。

たぶん・・・というのは、実はモロヘイヤは、フードプロセッサーで処理していたからで・・・。



挙句、好きだと聞きつけたオットの会社の人の奥さんが、刻んだのを定期的に差し入れてくれてたものだから、モロヘイヤを手で刻んだことのない駄目な奴なんでした。
スミマセン。

モロヘイヤ包丁横二枚刃の間は2cmほど。
ううむ、これならザクザクいけそうだなあ。





エジプトはこういう鍋釜類は、普通のシンプルなものなら非常に安いから、お料理好きな方は、現地にいったら、高級スーパーマーケットの類でもいいから覗いてみてください。
結構面白いんですよ。

「子羊でも丸ごと煮るのかい?!」と思いたくなるような、馬鹿でかい鍋が「家庭用」だったりします。業務用でなくて。

モロヘイヤ・スープのレシピは、以前もご紹介したけれど以下参照。
http://arima.livedoor.biz/archives/50121436.html

バステトついでだけど、この青い猫は、中王国時代(紀元前2000年頃)にファイユームというところ出土した、ファイエンス焼き(一種の七宝焼きみたいなもの)の像で、お土産でレプリカがよく売ってます。
「バステト」という女神の像です。

何の神様か、というところはいまひとつ曖昧で、一応「恋と音楽の神」とか「母性の神」などといわれていますが、そんなに大げさな神様ではなくて、ギリシャ神話のミューズに近いかもしれません。

ともあれ、猫が古来可愛がられていたのが良くわかります。

この辺の詳しい話は『中東犬猫話』ということで連載記事にしたことがあります。
関心ある方は以下をご参照ください。

http://arima.livedoor.biz/archives/cat_50005203.html

  
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2006年08月09日

飲み屋の御法度〜横浜某所で内戦勃発〜

これは横浜で起きた話なので『ぶらぶら』じゃなくて『ほにゃらら』に書くべき話かもしれないが、きっかけが「レバノン空爆」だったので、無理やりこっちに持ってきてしまう。

飲み屋では政治と宗教の話は御法度、とは良くいわれるけれど、くしくも我が身で実感することになった、というただの与太話。
悪しからず。

ある晩、よく行く飲み屋で、見るともなしにテレビをみていたら「レバノン空爆」をニュースでやっていた。

「アレはひどいよなあ」と顔見知りがいう。
「アメリカもひどいよなあ」と別の客が調子をいれる。
「マッタクかないませんねえ。いい加減にしてほしいですよ」と、ワタシも同調する。

実は、この件に関しては、自発的に「外で非関係者相手に、できるだけアレコレいわない」と自分に重石をかけている。
なにかしゃべりだしたら、酒の勢いもあって、プッツンときかねないからだ。
まあ突っ込んだ話でなくて、適当に調子をくれる程度で、たまになにか聞かれても「まあ、その話はやめときましょう」と、話題を変えるよう心がけている。

でも、ここで別の客が「でも、アラブのやつらも過剰反応だよなあ」とのたまわった。

いや、この場合、明らかに何にもわかってないアホウを相手になにを言ってもしょうがないので「そうですかね」くらいで話をクローズにもって行くのが大人というものだろうが、「アラブのやつら」という一言が、私の気持ちのどこかに「カチン」と当たってしまったのである。
至極マイルドに表現すると、だけれど。

そこで思わず「いや、そうではなくてですね・・・」と、思わず「説明」を試みたところから、いきなり隣の客と「内戦状態」に突入してしまった。

この客とは顔馴染みだったせいもあって、つい「わかってほしい」などと思った私は愚かだった。なにを言おうが、どんどん論点がずれていき、議論がどんどん不毛地帯の深みにはまっていく。

内戦、泥沼化である。
ずぶずぶずぶ。

しまいに「大体、飲み屋で政治の話なんかするんじゃないよ」ときたもんだ。
おいおい、こらこら・・・。

そこで店のマスターが気がついて、双方にイエローカードを切って、無理やり話題は「ベイスターズは再び五位に『返り咲ける』か」という方面に無理やり変えられた。

尚、ハマの飲み屋では、ベイスターズがんばれ!系の話はOKである。
但し、悪く言うと店内を一斉に敵にまわすので注意が必要だ。
ここはたとえ東京に如何に近かろうと「地方都市」なのである。
他所から横浜に出向かれる方は、ご留意を。

ちなみに「マリノス」については、スポーツバーやサッカーファンの集うところ以外ならば、話題にしても「あ〜そう?」くらいの反応になる。
マリノスが優勝しようがどうなろうが、このチームの勝敗に街はあまり反応しないのだ。

それはさておき・・・

まあ、たいそう不愉快ではあったけれど、とりあえず一つ身を持って実感として学んだことがある。だからそれでよし、としようと思う。
何故、宗教や政治がの話題が、こういう不特定多数の人間が集まるところの話題としてよろしくないか、実によく理解できたのだ。

「宗教」であれ「政治」であれ、各個人の思い入れは様々だが、中には特定の事象にひとかたならぬ愛情を持っていて、ある程度以上の知識などもある場合、なにもわかっていない他人が上っ調子に「間違った批判」なんかすると、批判されたほうは非常に厭な思いをするからなのだ。

中には反論の陣を張る場合もあろうが(すると今回のように座が荒れる)、
黙ってこらえて辛い切ない厭な思いを噛み締める場合もあろう。
政治と宗教というのは、意図せずして誰かを傷つけやすい話題なのだ。

その後、ワタシは「アラブのやつら」という一言が語るイメージは、相も変わらず日本じゃフツウらしいなあ・・・と、実に暗い気分になりながら、家路についた。
ああ、でも、要するにこういうことなのだなあ、と身を持って感じた次第。

だから、飲み屋などで「政治や宗教の話」を、やっぱりしてはいけないのである。

  
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2006年08月07日

中東・地中海料理特集@Elle a table


先日、レバノン料理の会を行った。

アラブの料理というのは、本来が大勢でわいわいと食べるものだと思っているし、実際そうしたほうが、楽しくおいしく食べられるものが多いのだ。
最低十名いないと調整出来ない、というものもある。

つまるところ、自分の食い意地一本やりで会を企画したのだが、まず驚いたのが最初に某SNSで告知を上げたときの反応だった。

「こんな企画に関心のある人は?」と投げかけたところ、各所から総計100ほどのレスポンスが出たのだ。
正直言って、驚いた。

こういう場合、半分は「なんとなく」としても、残り半分はかなり乗り気と見て良い。
そして日程や時間などをレストランや私の都合とすりあわせて、たぶん半分くらいの人が諸般の事情で残念ながら・・・ということになりそうだ、と思ったら、本当にきっかり25名の人々が、遠くは栃木や静岡から、横浜での本会に参加してくださった次第。

トルコ料理は随分知られてきたが、そろそろアラブ料理にもかなり関心が集まっているらしい。参加希望のレスポンスが、7割がた女性からで、当日は女性2対男性1くらいの比率だったことを考えると、若い女性の「食」への関心が、かなりこちらの方面に向いていることが強く感じられる。

そんな風に「へぇ」と感心してしばしのち、中東・地中海料理の特集が、Elle系のお洒落な女性誌から出た。

正確には"Elle a table"という。
「お洒落な食生活の高級誌」というイメージだろうか。

取り上げられているのは、トルコ、ギリシャ、レバノン(!)、エジプト、チュニジア、モロッコ。
「地中海特集」といいながら実はどっぷりと「中東」だ。

Elle a table (エル・ア・ターブル) 2006年 09月号 [雑誌]

内容は上品でお洒落な女性誌だけに、それに沿ったイメージになっているのだが、上がっている料理の種類や、イメージなどお洒落なりに現地とそうずれておらず、資料としては面白い一冊。

レシピがカード式になって24枚ついている、というのも便利だ。
「女性がお洒落にお料理できる」というのもひとつだが、単に写真だけでなく原材料や作り方というのは、料理や現地の食生活をイメージするのに欠かせない情報だからだ。
このあたりは、さすが女性の視点で作った雑誌だ、と感心する。
男性が中東の料理、などと言い出すと、このあたりの情報がスッポリ抜けてきて、
結局のところ「なんだかエキゾチックなイメージ」で終わってそれ以上進まないのだ。

写真がいかにも美味しそうで、すっかり頭の中が「あれを食べたい、これを食べたい!」で一杯になってしまった。

そんなわけで、中東の食文化に関心をお持ちの向きには、オススメ。
アカデミックなところから、単なる食い意地っ張りまでカバーして、爽やかな地中海近辺の風景で気持ちも和む。

9月号で発売したばかりなので、売りきれる前に一冊お手元にどうぞ。


  
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2006年08月06日

エジプト東方砂漠 遊牧民の貴重な記録


先日ご紹介した、常見藤代さんの写真展にお邪魔してきた。

紅海沿岸のハルガダあたりからナイル川にかけて広がる、東方砂漠で遊牧生活を送る女性の記録だ。

私自身は写真はシロウト以下なので、非常に月並みなことしか言えないが、裸足で岩山を駆け上がる男性の図(「靴など履くから、足の裏が弱くなる」と言うような一言が、ストレートに伝わる一景)、婚礼の写真、駱駝たちと戯れる女性の図(この女性が単独で放牧生活を送っている、その生活を追っている)など、遠い砂漠の世界に思わずいざなわれていくような気持ちがした。
ステキな写真ばかりだ。

それ以上に、記録として、国際的にも得難いものだ。
消えゆく遊牧民の生活文化。
現実的には観光客が相手の仕事が主体となって、定住生活に変わっていく一族の男たち。
その中で、ひとり女性が七頭のらくだを引いて遊牧に出てゆく。

以前から、写真の語るものの大きさ、重要さを痛感してきているのだが、写真の隅々に見受けられる、衣食住などのディテールを実に興味深く見た。

お忙しい中での立ち話ではあったが、色々とお話も伺えた。

この女性の部族は一帯に千人ほどいるのだが、お互いにどこの誰かを知っていること。
女性は(一軒お婆さんのようだが、58歳との由)夫が足を悪くして定住生活を余儀なくされており、9人の子供がいること。
部族の連帯に守られて、何の危険もなく砂漠の遊牧生活をしていること。

これは随分前に別のところで聞いた話だが、いわゆるベドウィンの部族としての連帯は確かに非常に強固なのだそうだ。

たとえば、通常は「どこからきた?」と出身地を尋ねる都市のエジプト人と違い、
「おまえはどこの部族だ?」とたずねるという。

そのときフィールドワーク中だった某氏は、とっさに「日本の姓だって部族名みたいなもんだわい」と「アナ・アル-ヤマーダ(仮名)」と答えられたとか
(アナは「私」、アルは定冠詞で、部族名などの一族名の前に付ける)。

アートには疎い私ではあるが、砂漠の風景はやはり心を鎮めてくれる思いがする。
活き活きと生活する人々の、姿や表情は、さすが生活をともにした人の撮ったものだ。
写真一杯に愛情と共感があふれて、気持ちが和む。

乾いた気持ちに潤いを求める方も、是非どうぞ。


常見藤代写真展
「Becoming the Legend」
(砂漠の荒野に生きる)  

◆日時:2006年8月2日(水)〜8月11日(金) 
    10:30~19:00(最終日15:00まで)

◆会場:コニカミノルタプラザ・ギャラリーC(新宿駅)
    TEL:03-3225-5001

(地図)→東口を出てすぐの、タカノのビル内です
http://konicaminolta.jp/about/plaza/access/access.html

末筆ながら、お忙しい中色々お話いただいた常見さん、どうもありがとうございました。
  
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2006年08月03日

向日葵(ひまわり)

向日葵今年はなぜか向日葵が早く咲いている。
でも、気候が不安定なせいなのだか、いまひとつ勢いがない。
梅雨がようやく明けて、これから、ということなのだろうか?

最近は向日葵も、写真のように、なにやら小洒落たお洒落な風情の品種が増えた。
8月31日生まれの私にとっては、八月の誕生花ではある。

どうも風情がなくて好きではなかったのだが、ドカンとデカイ向日葵が、こうなってくると懐かしい。

「向日葵の ゆさりともせぬ 重たさよ」
北原白秋  
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2006年08月02日

常見藤代さんの写真展が、読売新聞で紹介されました


こちらで先日ご紹介した、常見さんの写真展が、本日の読売新聞で紹介されました。
ワタシも早速、新聞買いに走りましたが・・・考えて見たら、ウチの辺で売ってるのは
『神奈川版』なのでありました・・・(泣)。

以下、ご参照ください。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news001.htm

  
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