2005年05月29日

『遠い太鼓』じゃなくて

お詫び

先週配信した話の中で、村上春樹の『遠い太鼓』を御紹介した。
過去10年来の愛読書で、ずっと書棚の一角にいつもあった本だ。
しかし、ちょっといいかげんなことを書いてしまったので、ここにお詫びと訂正・・・マーレーシュ。

「トルコのパンが美味いと思うのは、私だけではないらしい。村上春樹氏は、どうもあまりトルコの料理や風土が合わなかったようだが、パンだけは手放しで褒めている。」と書いた。その時点で、私の頭の中では「この本で村上春樹はトルコに行ったのだ」という妙な思い込みがあったのだが、アルツハイマーかそれとも妄執か、よくよく見たら上記は別の本の話だった。

ここに訂正し、お詫び申し上げます。

『雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行』 新潮文庫

旅のテーマとしては、ギリシャ正教の聖地アトス(女人禁制)の修道院を巡る、というのがひとつ。トルコを21日かけてぐるりと車で一周する、というのがもうひとつ。


評価している人も多いようなので申し訳ないが、正直に告白すると、私にはどうもしっくりこない本だ。『遠い太鼓』の濃密さは薄い。
出版社がスポンサーについて、編集者を同行した旅なので、トピックとしては興味があっても、やはり単独行動の紀行とは空気感が違うのだ。

でも、トルコ紀行はそれなりにムラカミハルキの世界になっている。
高価な本ではないので、ご関心のある向きは『遠い太鼓』と併せてどうぞ。  

2005年05月28日

【第12話】〜愛し懐かしトルコとトルコ料理編 其の四〜 『トルコで一番大事な食べ物・・・とは?』

● 誰もが納得?! トルコで一番大事な食べ物って・・・?

前回、話の行きがかりから、つい脱線してしまった。
美食の国トルコの幻影が、ちょっと辛くなりすぎたからだろうか。
でも、おかげさまで一週間、わりに普通の食生活を営めた(大袈裟?)。
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「饅頭」の補足、再び。

北京出身の知人によると、中国北部では米よりも麺など小麦を使ったものが主
食になり、中身も何も入れない子供の頭くらいの大きさの「饅頭」を蒸して食
べる習慣があるという。
トルコのマントゥもシルクロード経由で様変わりしたものだ。
ちなみに「ごはん圏」は中国でも南の習慣だとか。

ご周知のことだろうと思うが、この「南北」の境は長江である。

→ショウさん、ありがとう。  
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2005年05月19日

【第11話】熊本で「羊の謎」を考えた〜中東食肉事情編

【もくじ】
・中東羊肉食圏の謎
・熊本の山中で、牛の観察
・でも、例外はエジプト
・湾岸地帯の夏って・・・
・ハラールな肉とは?
・ついでに豚肉について

● 中東羊肉食圏の謎

実は「中東は羊肉食圏」と自分で定義しておいて、不思議に思い始めていた。
牛3何故「羊」であって「牛」でないのだろうか?
ご周知のように、豚肉は「不浄のもの」としてイスラム教徒は口にしない。
でも牛肉は、宗教的儀式にのっとって正しく処理された、いわゆる「ハラール」である限り問題ない。もちろん、街で普通に買えるし、食卓にも上がる。
でも同じ四つ足なのに、羊のほうが圧倒的によく食べられている。

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『新イスラム事典』と『岩波 イスラーム辞典』の辞典2つ

『新イスラム事典』 平凡社

『岩波 イスラーム辞典』 岩波書店

辞典二冊はどちらも、細かいところまでイスラム世界の情報を網羅し
ているので、読み物としても面白い。実はこれが私の「虎の巻」なのでもある。

尚、「イスラム」と「イスラーム」という二通りの呼び方があるが、前者は慣
用的なもので、正式には後者が正しい。私の場合は、文脈や文意に合わせて、
読みやすい方を使っている。ご参考までに。
  
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『古代エジプトの世界』 村治笙子(著) 岩波新書

『古代エジプトの世界』 村治笙子(著) 岩波新書

この簡便な体裁の新書が、実は大変なものだ。壁画の写真は、現在観光では行けない地域のものまで網羅しており、一般的な神殿の写真もかなりマニアックな構図を含むうえ、大変美しい。
若いころ現地でガイドもやっていた私としては「こんな本が当時に出ていてくれたら苦労しなかったのに!!」と、悔しいことしきり。
また、マニアでなくとも十分旅心を誘われる良い本だ。
どこかのガイドブックにプラス、ということなら、この本!といってよいと思う。  
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2005年05月18日

ラム肉発見!

ラム肉某スーパーで、ラム肉発見!
おお、あったあった、こういうことか・・・。


ラムポップその前の週には見かけなかったが、やはりBSEがらみで出回り始めているらしい。


ここには、ラムしゃぶと煮込み用(豚ロース程度の値段でオーストラリア産)と、ラムチョップ(5本で1000円くらい。こちらはニュージーランド産)があった。
私は「参考まで」ということで、一番安い「煮込み用」を買ってみた。
「おお、レアーシュ!!」と、ラムチョップの衝動に駆られたが、こういうところで「主婦の理性」が出てしまうのは悲しい。過去一度ひどい目にあっているわけだし・・・。

結論。
まずい・・・まあワタシは食べられるけれど、一般に受けるとは思えない。

以下はレシピというほどのものですらないが、一応ご報告。

最初は塩コショウしてバターにニンニクでざっと炒めたが、不自然に臭い。
残りは、塩コショウして、ニンニクにタマネギ、ラム、シメジと炒めてトマトを投入。若干まし。
ヨーグルトを入れたらさらに匂いが緩和された。

翌日、残りを煮てから、庭にあったミントの葉を一掴みほど投入、仕上げに火を止めてからヨーグルト追加投入。
かなりマシになった。

やっぱり輸入の冷凍ではだめらしい。
冷凍した時点で味が変わってしまう肉なのだ。

そう、現地で食べた時まるで「別物」だったのは、冷凍品ではなかったかららしい。
やっとわかった。

実際「煮込み・カレー用」ということだから、カレーなどの強い香辛料を入れれば問題ないだろう。

一晩ヨーグルトとトマトと一緒に寝かせたら、かなり食べやすくなっていたので、調理の前に塩コショウとヨーグルトでマリネして一日置いてから料理したらかなり良いかも。
あと、ミントはカレーには向かないけれど、ヨーロッパなどではよくラム・ステーキのソースに使う。自宅では初めてラムと合わせてみたが、うまくこのラムの「匂い」と絡んで「香り」に変えてくれた。

尚、ミントは「高級スーパーマーケット」で買ってくるとなると高いが、ターミネーターのごとく強く激しく根付きはびこるハーブなので、自宅で大きめのプランターなどで栽培すると、初夏から秋にかけてわんさか取れる。
苗など今ごろはあちこち出回っているので、一苗買ってくると、しばらく楽しめる。地植えの場合、ほぼ何の心配も要らないが、プランターならば「大きめ」にして、水切れに注意。

エジプトでは「ナァナァ」、トルコでは「ナーネ」といって、主に紅茶に入れる。
消化整腸に効果がある。ちなみに、私の大好物、トルコ餃子「マントゥ」にも、店や家庭によっては入れるところがある。
エジプトでは、料理に使うのを一般にみたことはないが、お茶に入れたものは道端から高級ホテルまで、どこででもスタンバイしている。
「シャイ・ビ・ナァナァ」といえば、ミントティー。
「おなかの具合が悪い」と言うと、必ずこれを飲んで休んでいるように言われる。

イスタンブル勤務の頃、エジプト人のゲストが「ファラオの復讐」ならぬ「パシャのいじめ」にあって寝込んだので、これを差し入れたら涙ぐまんばかりに感激された。
横浜勤務の時も、やはり同じようなゲストに同じような差し入れをしたら、帰りぎわ本当に泣きながら感謝された。

つまらん知識も案外役に立つ。

ともあれ、羊肉。国産品の一般流通が一日も早く確立することを願う。
インターネットでは入手できるようだが、ちょっとした和牛並の値段。

「あと一声!」
もうこの一言である。

  
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2005年05月14日

その名も「東京ジンギス倶楽部」!

ふと思い返して、過去の連載を改めて読み返してみたら、はっきりいって『羊』の文字が出ない号のほうが少ないくらい、まあくどいほど羊のことばっかり書いているのです。無意識なだけに「そんなにオマエは羊が好きだったかい?」と自分に呆れます・・・。

こんな羊肉偏愛症を患うアリーマのため、ありがたくも読者さまが以下のサイトをご紹介くださいました。

その名も「東京ジンギス倶楽部」。

東京ジンギス倶楽部
http://www5a.biglobe.ne.jp/~Genghis/index.html

羊肉の販売サイト、東京近郊と北海道の羊肉&ジンギスカン専門店などを網羅した、お役立ちサイトです。
また、羊関係の詳しいトピックも満載でお勉強になります。
ワタクシと同じ病でお悩みの皆さん(?)、是非ゼヒ覗いてみてください。

尚、羊肉関係の情報、アドバイス、お薦めレストランなどなど、貴重な情報を寄せてくださった皆様、ありがとうございます。関心がおありの読者さまは、是非コメント欄をご覧くださいませ。
また、引き続き、新規情報は歓迎いたします(ありがたい読者さまを、こんな風に利用しちゃいけないわ・・・とか思いつつ・・・ふふふ)。

羊肉食べてパワーアップしますので、どうぞよろしく!
  
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2005年05月12日

【祝!10話】愛し懐かしトルコとトルコ料理編 其の三 〜 究極の肉喰い民族、トルコ人 〜

【もくじ】

・祝!第10号!!
・再び羊肉の話
・羊はとことん隅々まで食べ尽くす!
・当然ケバブも多種多様
・名物ドネル・ケバブ


●祝!第10号!!

ふと気がついたら、連載が10回目に入っている。
確か当初は「10回をめど」ということで始まったのだが、いつのまにか連載延長ということになり、うれしい限り。これも読者の皆様のご支持の賜物です。
この場を借りて御礼申し上げます。

ブログのほうもコンスタントにアクセスをいただいている。(管理人注:一日平均250アクセス)
エンリケ航海王子殿下に、おんぶに抱っこ状態で管理を押し付け・・・もといお願いしながら、お気楽に伸び伸び書きたいことを書けるのは幸せなことだ。
感謝多謝。

今後もどうぞよろしくお願い申し上げます、とご挨拶して、本文へ・・・。


●再び羊肉の話

以前、羊肉の話を書いた。
その折、実は我が弟からコメントが入り「巷では最近ジンギスカン、羊ブームで、どこでも前より安く買えます。ちなみに沖縄では『うんまい山羊刺し』が食べられます」とのことだった。以前、記事の後記で触れたこともある、カイロの拙宅に転がり込んできてしばらく滞在した例の弟だ。

「カイロ行きたいよ、モロヘイヤ食いたいよ」と食べ物にやたらと反応するのは、さすが(?)血のつながった弟。しかし『うんまい山羊刺し』?!・・・
う、沖縄行きたいなあ、と反応してしまうのも、やはり血のつながった姉の私。
沖縄の夢は置いておくとして「巷でジンギスカンがブーム」というのは本当だろうか?
メールをもらってから気をつけていたが、私にはその気配が感じられない。羊肉がそこいらで簡単に買えるとは、いったい真実なのであろうか? 
そういえば、ブログに「マトンを肴にラクを飲んでいます。病み付きになりそうです」というコメントを、読者の方からいただいたこともある。

横浜界隈では見かけない。北海道はもちろん除くとして、全国的にはどうなのだろう?
要調査事項である。日本人の食嗜好が中東向けに変わってくるとなれば、私も考え方を改めなければならない。とか何とか言って、結局は自分が食べたいだけなのだけれど・・・。


●羊はとことん隅々まで食べ尽くす!

以前書いたように、アラブ圏とはすなわち『羊肉食圏』である。
食べ方は土地により特色があるが、とにかく肉といえば羊といっても良いほどだ。
しかも、ただ肉部分を食べるだけではない。日本人が鶏を、軟骨から臓物から食べてしまうように、臓物、蹄、目玉に頭に脳みそまで、きれいさっぱり食べ尽くす。

エジプトでもレバーはよく店で出てくるし、脳みそのフライは専門店で売られている、という話は書いた。でも、その他の部分は捨ててしまうわけではないだろうが、少なくとも一般的に、すぐそこいらで口にできるものではない。

トルコで嬉しかったのは、こういう臓物などがその辺の店で簡単に食べられることだった。専門店があって、数も割合多いので探すのに苦労しない。「本当に美味いのは肉でなく臓物である」と亡父にきっちりと躾けられた(?)私にとって、イスタンブルは天国だった。

脳みそは、エジプトのように揚げることもあるが、茹でてサラダにすることもある。
味も見かけもタラの白子に似ている。レストランの前菜で出てくる。

思い出すたび目が潤むのは、イシュケンベ・チョルバス。
羊の胃袋のスープだ。寒い冬など、体の芯から温まる。マントゥと並んで私の目を潤ませる珍味である。
トルコ風モツ煮込みで、マントゥ同様、レストランではなく専門店で食べる。
味付けは店によりさまざま。店の構えもテーブルクロスのかかった上品なものから、いかにも肉体労働系の男性が元気をつけに来るような庶民派までいろいろ。どのパターンであれ、空腹時に前を通ると決して素通りできないものだった。

ココレチという羊の腸のグリルも専門店アイテムだ。イシュケンベ・チョルバスと同じところで出すこともあるし、こちらは街のスタンドで串に刺したのを売っていて、テイクアウトして食べることもできる。

あれもこれも、臓物の類が好きな者には堪えられない。
脳みそなど、以前は日本でも牛のものとはいえ一部のモツ焼き店で食べられたのだが、BSE騒動以来ストップしてしまったから、思い出すとたまらない。
また、日本のトルコ料理店では「材料がないから無理」ということなので、トルコに行くよりないのである。


● 当然ケバブも多種多様

エジプト完敗宣言を出した話を書いたことがあるが、滞在一週間ほどで「あー負けた負けた負けました!エジプトの負け!!」と叫んだのは、イスタンブルの臍であるタクシム広場に程近い「オジャクバシュ」(ケバブ屋)だった。
ちなみに、オジャクというのは『かまど』のことだ。
昔からトルコでは、焼肉だけは外に出かけてオジャクのあるところで食べたものだそうで、今でもそういった店があちこちにある。

ここで食べたのは「チョプ・シシュ」という焼肉。チョプは「くず」の意だが、その名の通り小さく刻んだ肉を長い鉄串で焼いたものだ。名前はクズだが、日本の焼き鳥くらいの大きさでかわいらしい。これを、薄いパンでしごきとるようにして食べる。大きく切った羊肉のケバブも悪くないが、食感がまるで違って面白い。

「負けた」と思ったのは、元々クズ肉だったのか、わざわざ細かく刻んだかは別として、ここまで手間をかけて羊を食べ尽くそうという情熱のようなものを感じたからだ。エジプト料理には、ここまでの創意工夫はない。

実際トルコ料理というものは、この程度で「創意工夫」などと感心していたら笑われてしまうくらい手の込んだものが多い、ということをその後知るが、この時点でもう完全に喜んで白旗だった。嬉しかった。少なくともあと一年は、こういう食生活が待っている、と思ったからだ。

そしてこの期待は裏切られることなく一年半ほど続く。結婚して「寿退職」に至らなければ、まだイスタンブルに居たかもしれないと思うくらいだ。
結婚して十余年、後悔したことはないが、イスタンブルを離れるのだけは残念だった。

その他、唐辛子を利かせた「アダナ・ケバブ」、「キョフテ」と呼ばれる羊肉のつくね(エジプトはじめ中東一帯では「コフタ」と呼ばれ、同じようなものはある)、ヨーグルトで味付けする「イスケンデル・ケバブ」は羊とヨーグルトと諸々のスパイスに風味か絡み合って絶妙の一言だし、当然スタンダードな「シシュ・ケバブ」も美味い。

また、羊に限らず鶏肉も良く食べる。牛肉も結構出てくる。
鶏のケバブは「シシュ・タウーク」という。煮込んだり、焼いたり、グリルしたり・・・と料理法が多様なのも同じだ。羊が「ハレ」なら鶏は「ケ」で、日常的によく食卓に上がるものだ。レストランでも出てくる。だからどうしても羊がだめな場合は、ちゃんと逃げ道があるのでご心配なく。

● 名物ドネル・ケバブ

そして、忘れてはいけない、名物「ドネル・ケバブ」。薄い肉を何枚も大串に刺して一抱えほどの大きさにしたものを、ぐるぐる回しながら焼く。エジプトでは「シュウェルマ」と呼ばれているものだ。

レストランでは大きなナイフでこそげ取った肉片を、野菜や平たい現地式のパンなどと一緒に皿に乗せて出してくれるが、やはり嬉しいのはテイクアウト用のサンドイッチにしたもの。平たいピタ・パンとよく呼ばれるパンの中に具を入れるエジプトと違って、トルコではフランス・パンに似たものにはさんで、野菜をたくさん入れて食べる。

最近は東京のオフィス街のランチタイムにも出現するようになったから、案外おなじみの光景かもしれない。でも、先日靖国神社でお花見をした折、そこに立ち並ぶ屋台に「ドネル・ケバブ」を見つけた時には目が点になった。ここまで出てきたか、と感動すら覚えて、つい買い損なったのは不覚であった。
尚、このロケーションは私の政治信条などと関係なく、単に便利で落ち着いて飲めてよいと知人が選定したものだ。
不謹慎なことで申し訳ないが、念のため。

トルコの「ケバブ」の語源は、アラビア語の「カバブ」にある。一方、アラビア語で「シシ・カバブ」と言えば「串焼き肉」だが、この「串」にあたる「シシ」は、トルコ語の「シシュ」が語源なのだそうだ。また「カバブ」も「ケバブ」も単純に「焼き肉」とされているが、煮込む料理もそう呼ばれることがある。トルコには特にその、「焼き肉でないケバブ」のバリエーションが多い(『食はイスタンブルにあり』より)。


そろそろ拷問状態がピークに達したようで、また「羊肉食べたい病」が始まった気がする。
料理の話は、本当に辛い・・・。

次回は、トルコ料理でこれを語らずにおけない、一番大事なものの話。
さあ、なんでしょう?

というところで、次回に続く。  
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『食はイスタンブルにあり―君府名物考』 鈴木 董 (著)

『食はイスタンブルにあり―君府名物考』 鈴木 董 (著) NTT出版

作者はオスマン帝国史研究の権威であり、トルコに限らず中東世界をくまなく視野に入れた学識の深さは大変なものだ。この本のおかげで、長年疑問だったものが随分氷解した。
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トルコ料理のレストラン『トプカプ』

☆以前出てきた、トルコ料理のレストランを改めてご紹介したい。

『トプカプ』
東京都港区北青山3-6-26 SIビルB1
Tel.03-3498-3510
営団地下鉄:表参道駅から徒歩1分
http://members.at.infoseek.co.jp/Topkapi_Turkey/

地元横浜の某トルコ料理屋で、トルコ人のスタッフとひょんなことでこの店の話になった。
二人の意見が一致したのは「ここが一番おいしいよね」ということだった。
値段もリーズナブルで、ある程度人数がいれば事前にお料理のリクエストも受けてもらえる。
一つ難を言えば、20名程度で一杯になる小さな店なので、必ず事前に予約が必要なことだろうか。  
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ゴールデンウィークは熊本で・・・

☆ゴールデンウィーク後半、熊本県球磨郡の山中にいた。夫の実家で法要があったのだ。
空気も水もきれいなところで、来るたび深呼吸しては都会の生活で何に飢えていたかを思い出す。
その上「米焼酎の里」であり、しかもあちこちに温泉がある。温泉はお気に入りがあるので、ブログにあげておく。どうぞご参照のほどを。→クリック

☆「山口家」は農家で、黒牛を最近飼育し始めた。
義母に代わって叔父夫妻が面倒を見てくれている。
仔牛に成牛二頭だ。牛小屋も放牧用の囲いも庭先なので、24時間気が向いた時に見にいける。
で、小学生よろしく観察していた結果、このところ疑問になっていた「なぜ中東は牛でなくて羊だったのか」という謎が解けた。叔父にあれこれ聞くと丁寧に教えてくれるのも助かった。
このあたりは次号(5/19の第11話)に書こうと思う。  
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2005年05月11日

人吉中央温泉

人吉中央温泉ここがワタシのお気に入り。サウナだなんだという余計なものがなく、故にいつも空いていて、レジャー感覚の子供連れなどに邪魔されずゆったりできる。しかも、お湯が抜群。穴場です。
  
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橘の花

橘の花九州南部では、一足先に橘の花が満開。五月待つ花橘の香をかげば 昔の人の袖の香ぞする、という有名な一首を思い出す。花は地味だが、香が素敵だ。

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2005年05月09日

ちょっと待っ手

第8話で紹介した「ちょっと待っ手」の実物をご紹介。皆さんも明日から使いましょう。

ちょっとまっ手-前からの図の巻【ちょっとまっ手-前からの図の巻】

正面から見ると、こうなります。





ちょっとまっ手-横からの図の巻【ちょっとまっ手-横からの図の巻】

元カイロ在住の熊本の知人にやってもらいました。



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2005年05月05日

【第9話】〜愛し懐かしトルコとトルコ料理編 其の二〜 極私的トルコ餃子への愛着と執着と妄執(あ〜あ)

【もくじ】

・今度こそトルコのお料理話
・世界三大料理の謎 〜 トルコ料理のツーリスト評定は?〜
・ヨーグルトの功罪
・極私的ナンバー・ワン 〜マントゥ(トルコ餃子)〜

● 今度こそトルコのお料理話

書きます、書きますといい続けて数回。
今度こそ、トルコのお料理の話。
狼少年ならぬ狼中年の名を、この辺で返上しなければいけない。

イスタンブルは歴史ある王都だ。
そして、そのように、千年以上にわたって栄える王都には必ず多種多様な美食が存在する。
頑なに美食を不徳とする、イギリスの王都のような場合は例外だけれども。

以前にも書いたが、イスタンブルでの食生活はまことに充実したものだった。
道端で売っているサンドイッチや多種多様なジャンク・フードの専門店といった、一食100円か200円くらいで済むようなチープ系から、高級レストラン、シーフード専門店まで、今思い出しても目が潤んでくるような「美味いもの尽くし」の街だ、と私は思っている。

今までナンノカンノと先延ばしにしたのも、思い出せば思い出すほど拷問にあっているような心理状態になるからかもしれない。事実「さあ、トルコのお料理!」ときた途端に「あれが食べたい、これが食べたい・・・」が始まってしまった。

悲しい。羊肉くらいなら救いの神も出るが、私が真摯に食べたいアレコレは、トルコに行かなきゃだめなのだ。
アラジンの魔法のランプでも持っていない限り「じゃあ、ちょっとイスタンブル行って、マントゥとイシュケンベ・チョルバスでも食べようか」などという話はない。
せいぜい家人が「トルコ料理、いく?」と誘ってくれるくらいだ。

●世界三大料理の謎 〜 トルコ料理のツーリスト評定は?〜

世界三大料理といえば、フランス料理、中華料理、そしてトルコ料理、といわれている。
確かにトルコ料理のバリエーションと、手のかけ方、食材の豊富さ、食にかける情熱などを考えれば、間違いなくそのとおりだと思う。

しかし、しかしだ、この「伝説」が意外に足を引っ張るところもある。

以前に某旅行代理店の参加者アンケートを見せてもらった話を書いた。
エジプト旅行についてのセミナーを数回と、トルコとエジプトについての小冊子刊行に協力した時のことだ。既にご紹介したように、ツアー中のエジプト料理の評定ははおおむね3〜4。5まで結構あって驚いたものだ。

で、これがトルコ・・・ときて、絶句した。
いいところが4、ひどいと1や2までがある。
平均は3かそれ以下である。

「はぁ?!」と、何度読み直しても同じだ。
何をどうしたら、トルコの料理評定がエジプト以下になるのだ?!

で、あちこち調べたり聞いてみたりして、わかったことがある。

1. トルコのツアーは地方から始まるケースが多い。
1. 地方の場合「食事は家庭でするもの」であって、レストランは大抵の場合観光客向けとなる。当然、出てくるものに作り手の強い熱意はこもっていない。
1. 地方によっていろいろなバリエーションはあるものの、グルメの王都はイスタンブルであって、イスタンブルなど大都市とその他の地方都市では、『食』への執着が違う。
1. イスタンブルにしても、やっぱり最高なのは家庭料理だ。
1.そもそも、この「世界三大料理」を言い出したのはヨーロッパの人間である。当然日本人と味覚は違う。

この「トルコは世界三大料理の一つ」という評価の故に「美味しいものを食べたい!」という期待感に満ちてくる旅行者が少なからずいるのでもある。
以前も書いたが、完全に食べるものは絶望的、と思い込んで彼の地を踏むエジプトの場合と、スタートラインが違う。

また、トルコの地方にでると食べるもののレベルはがたんと落ちる。
イスタンブルのきらびやかさが嘘のようだ。
かつて「世界三大料理」の地と呼ばれたところは、スラブ、欧州、アジア、そしてアラブの交差点に位置したイスタンブルなのである。そして、歴史ある王都がすなわちトルコ全域ということにはならないのだと思う。

さらに突っ込んで考えると、トルコ料理はエジプト料理よりはるかに手がかかり、凝っているのではあるが、その凝り方が今ひとつ日本人の口に合わないようにも思えるのだ。

●ヨーグルトの功罪

特に決定的にだめなのは、ヨーグルト味ではないかと思う。日本人にとってヨーグルトというのは単なる健康的なデザートだが、トルコでは「ヨーグルトを使った料理」というだけで一冊本ができるくらいのもので(実際日本でさえ出ている)、基本的な「調味料」なのである。

飲み物にも「アイラン」という油脂を抜いてさらりとさせ、塩味を軽くつけたヨーグルトドリンクがあって、食事中「お酒を飲まない人たち」が飲む。私は邪道を承知でラク→アイラン→羊肉というラウンドを楽しんでいた。羊とヨーグルトも、これまた相性が良い。
あと、ごくごく庶民的なケバブ屋(「オジャクバシ」という)に行くと、ラクのチェイサーにビーツのジュースが出てくる。これはトルコ人でも好き嫌いが激しく分かれる代物だが、私は大変気に入っていた。羊肉、ラクのコンビネーションに、更に磨きをかける名脇役だ。

この一文を読んだだけで「げ、ナニそれ」と思う読者もいると思う。
このように、食べ物の好みは人それぞれ。
世界各地でも美味のスタンダードは違うのである。

こんなことを一例として、トルコ料理独特の精緻さが、基本的に極端な香りや味を好まない日本人の口に合わないことはあるだろう。
まあ、日本人だって納豆やら塩辛やらを食べているのではあるが。

● 極私的ナンバー・ワン 〜マントゥ(トルコ餃子)〜

ヨーグルトは実際、ソースに、サラダに、肉料理の下味に・・・と多種多様な形で使われている。

冒頭に出てきた「マントゥ」もヨーグルト料理だ。トルコ風のミニ餃子で、形は一般にピラミッド状で小指の先くらいの大きさ(バリエーションはいろいろ)だが、茹で上がった上にヨーグルトをかけ、ニンニク入りのピリッと辛いソースをかけて食す。希望で胡桃をトッピングすることもできる。

マントゥという名前は、中国のマントウ(饅頭)につながる語感がある。
多分どちらかが起源で、シルクロード経由で変形していったものではないか、などと想像すると楽しい。さらに西に行くとイタリアのラビオリがある。東に餃子、饅頭、包子(パオズ)、西にラビオリ。起源までさかのぼれなかったけれど、今度調べてみることにする(と、ちゃっかり宿題にするのだった)。

トルコ料理多々ある中で、私の輝ける第一位はこの「マントゥ」である。
イスタンブル市内でも「どこでもよい」というものではなく、「これは!」というものには、日本で抜群の水餃子に出会うのと、ほぼ同じくらいの確率でしか遭遇しない。

私の思い込みかと思ったら、ある日トルコ人の同僚たちが「どこのマントゥ屋が一番か」論争を熱く繰り広げていた。「うちの近所にさぁ」と仲間に入ろうとしたら「日本人の皮をかぶったエジプト人のオマエにはわかるまい」とあっさり却下されたのだ。ふん!せっかく教えてあげようと思ったのに。

トマトソースをかけた、これこそイタリアのラビオリのようなものもある。こちらも好きだが、偏愛するところまでは行かない。これはレストランなどでも比較的よく見かける。
ヨーグルトかけのものは専門店のみで、本当においしい店はマントゥ以外のメニューなしである。

昔住んでいた家の近くには極上のマントゥ専門店があり、出前もしてくれた。
界隈の住人で出前注文をよこす日本人は私だけだったようで、第一声のご挨拶だけで、名乗りもせぬうちから「おお、はいはい。今日は何人前?」と、日本の宅配ピザなどかなわぬ効率のよさだった。

実は「餃子なんだから、辛子醤油が良いのではないか」と思いついてやってみたことがある。「ニンニク抜き、ヨーグルト抜き」というオーダーを理解してもらうのに多少苦労したが「例のいつもの日本の女の子(当時)が、何か変わったことを考えているらしい」と賢く理解してくれて「ヨーグルト抜きでも、値段は同じよ」と届けてくれた。

私は水餃子の類には目がないのだ。海外にいるときは、自分で皮を打って、豚肉の塊をたたいて、自家製水餃子を作っていたくらいだ。仕事で頭にきた時など、なぜか無性に食べたくなったもので、夜遅く小麦粉の塊に拳をくれている私の姿を見るにつけ、家人は「今日は何かあったの?」と尋ねたものではあった(空腹をこらえて、に違いない)。

で、辛子醤油マントゥ。
結果はNG。まあ、悪くはないけれど、やはりヨーグルトとの絶妙なコンビネーションには勝てない。確かに水餃子にヨーグルトをかけても美味しくないよね、と妙に納得したのを覚えている。

というわけで、マントゥはまず滅多なことでは日本でありつけない。
一度だけ、20名ほどのランチ・パーティーで、都内のお気に入り某トルコ料理店を借り切った時、おそるおそるトルコ人オーナー兼シェフのU氏に言ってみたら「そのくらいサービスで追加してあげる」と、気持ちよく出してくれたことがあるくらいだ。
あれはどう考えても手のかかる一品。追加料金覚悟だったのだが、トルコの人のホスピタリティー、日本でも健在である。

もっとも、横浜の某トルコ料理屋で、それをトルコ人のウェイターに言ったら「いいなぁ、日本人は。僕がUさんにそんなこと言ったら『ワガママいうんじゃない!』って叱られて終わりよ!」とのことではあった。

と、いうことで、「トルコのお料理」はまだ続く。
冒頭の「イシュケンベ・チョルバス」も、次回のお楽しみ(?)ということで。

それにつけても、ああ、マントゥが食べたい!!
あの店はまだ、健在なのだろうか?

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お料理の話はつらい

■お料理の話はつらい。書いていて風景がビジュアルに立ち上がってくるところまではいいのだが、あの味、この味を思い出すと、明日にでもトルコ行きの航空券を買ってしまいそうな気がする。エジプトにも行きたい。どうせなら、ツアーでも企画してどこか仲の良い昔の知り合いに持ち込もうか、とまで思っている。

■それにしても、トルコの料理の話をすると言っておいて、結局まともに紹介したのはマントゥ一品。たぶんあと二回くらいはお付き合いいただくことになるかもしれない・・・。
最近微妙に誤解されつつある気がするが、本連載は「中東事情全般」がテーマであって「中東食事情」に特化したものではないのに、この調子で行くと延々と一回一品ペースになりかねない。ちょっと反省しよう・・・といいつつ、お料理話はまだ続く。

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今回は写真の入った本を二冊紹介

『トルコヨーグルト料理レシピ集 味と出会うシリーズ』 プナール・トゥラン(著)アスペクト刊

単なるお料理の本で、特に深い突っ込みはないが、とりあえず「こんな本が日本でできてしまうくらいヨーグルトとトルコ料理は切っても切れないんですよ」ということで御紹介しておく。写真のきれいな女性向けのきれいなお料理の本だ。

『トルコ料理 東西交差路の食風景』 柴田書店刊

何故このような本が成立したのかと思ってよく奥付を見たら、スポンサーが「カゴメ」だったのだ。
日本の某大手商社が、トマトをトルコから大量輸出していた話を聞いたことがある。出版時期がちょうどそのころだ。ふうん、と思った。

トルコ料理といっても、なかなかいい本が見つからない。ガイドブック以上の突っ込んだ話はあまりないのだが、この本は写真がきれいで、各所に挿入されている食文化や歴史についてのコラムは面白い。
紹介されているレストランの質については「?」だが、現地の食風景は堪能できる。レシピもついている。もう少し統一性があればよかったのに・・・とは思うが、現状日本で出ている中では、ビジュアルにトルコの食文化を概観できる希少な本ではある。ちょっと高いが。

スポンサーが強力なためか「1992年初版刊行」ながら、まだ簡単に手に入るのは、いいことだろう。

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中東関係で何か面白い本があったら是非紹介してください。
ブログへのコメント投稿↓でも結構です。
http://blog.livedoor.jp/arimaburabura/
硬い政治軍事関係は数多あるけれど、ソフトに中東にアプローチした本は、
意外に少なく、是非こちらで取り上げていきたいと思います。  
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2005年05月02日

カイロの自爆テロがらみの補足情報です。

あの後、テロの主犯とその家族が住んでいたショブラ地区(鉄道の始発、ラムシス中央駅の裏手あたり。中流以下の庶民層が多い)の一角で、大々的なローラー式の「手入れ」があったそうで、200人以上が捜査の対象になったとか。おそらく彼らの親類縁者や友人たちが相当引っ張られているでしょう。いわゆる「見せしめ」捜査です。

今回の事件、ひとつすっきりこないのは、こういうことのできる政府が、どうして既にマークしていた犯人とその家族を泳がせていて、こういう事件を再び起きるに任せたか、という部分です。
想像たくましい話ではありますが、何か事を起こすまで追い詰めてから、今回の一斉掃討作戦に出たのでは、という気がしないでもありません。

エジプトという国は、対外的にはさえないけれど、国内諜報にかけては相当なものなのです。
報道によれば「既にマークされていた」というけど、それなら簡単に、問答無用で引っ張れたはずなのです。

容疑あり、というだけで拘禁・拘束・尋問というのは、この国の官憲が昔から(これこそ戒厳令以前から)やってきたことで、なぜそうならなかったか、と考えると、裏に何か意図があった可能性はあります。あくまで憶測ですが。


今回の件に関する見かたはこちらです
 →http://blog.livedoor.jp/arimaburabura/archives/20634403.html

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カイロで起こった爆弾テロに関する質問への回答

29日に起きた爆弾テロについて、エンリケ航海王子殿下(メルマガ「軍事情報」発行人)からの御質問に答えたものを、以下にまとめます。
ご参考までに。

■カイロの自爆事件など

> ・欧・米・イスラエル・日本の「人・権益」を意図的に狙ったものか否か

間違いなく「NO」です。明らかに、先日ハンハリーリーの犯行グループが、エジプト政府の治安維持当局に追い詰められ、行き場を失ってヤケクソの自爆テロを行った、というところです。そういう政治レベルの深さはまったく感じられません。

目標は「自分の死に場が労せず目立つこと」で、主犯は「一番話題になりそうなポイント」で、かつ「容易に行けるポイント」(その辺は事件の幼稚さと比較すると「よく考え付いたもんだ」と思いますが)ということで、博物館の「そば」にうまく落下できる、立体交差の上から爆弾抱いて飛び降りた、というパターンです(「そば」に落ちようたぁ、「ざる」な考えだ・・・?)。

ちなみにカイロでは、自動車専用のハイウェイを平気で人馬ロバ・ラクダなどがうろちょろしていますので、空気が悪いのさえ我慢すれば普通に歩けます。

首謀者の妻も、現場となったシタデル(イスラム地区にある、サラーハ・エル・ディーン建立の城砦)近辺は警官がうようよいるので、わざと「挑発的な自殺行為」をやって、簡単に死んだ、とそれだけだと思います。城砦の入り口はもちろん、そのエントランスに向かうパーキング入り口も武装した警官が固めています。
で、「その手前」でバスに向かって拳銃を振り回したということのようです。
確かに「ツーリストを狙った」といえばそうも言えますが、むしろ確信犯的自殺行為志向のほうが強く感じられます。

ハンハリーリーの事件と共通しているのは、接近が容易でセキュリティーチェックがないところを選択していることと、それによって同胞であるエジプト人を巻き込む危険性をまったく考慮していないことです。
事実、死者はエジプト人のみでした。
また、博物館の事件の犯人が爆弾抱えて飛び込んだのは、明らかに現地エジプト人しかいないようなポイント。非常に幼稚な犯行です。

ルクソールのテロで「止むを得ない場合を除き、同胞の殺害はできる限り避ける」という意思が強く感じられたのと対照的です。あの時、日本人グループをアテンドしていたエジプト人ガイドは、脚を撃たれて「どこかに隠れていろ!」と犯行グループの一人に指示されたりしています。

> 犯行声明
「アル・カイーダ」といっても、もはや組織的な一貫性はありません。
『自称』するだけで関連組織になりえます。実際、どこかの浅はかなグループが二つほど「犯行声明」を出したけれど、事実関係がまったく食い違うので一笑に付されて終わったようです。

> ・アングロサクソンメディア・政府の反応
欧米マスメディアは、そういうわけで、事実関係調査の上『烏合の衆の跳ね上がり的犯行』として話題をクローズにした印象が強いです。欧米の場合、この類の『突発暴発事故』には慣れているのか、報道はするけどあんまり騒ぎませんね。巻き込まれて自国の人間の怪我人を出したイタリアのクールな反応が印象的でした。
ただし、自国民が巻き込まれて負傷しているからか、発生当初の報道に限っていえば、イタリアの記事は事実関係が一番正確でした。

日本人が万一巻き込まれていたら、蜂の巣をつついたような無意味な大騒ぎになっていただろう、と思うと、彼我の差を感じます。

でも、イタリア・・・記事中「カミカゼ・テロ」だの「カミカゼ攻撃」だのいう「カミカゼ」という単語の連発・・・。
勘弁してほしいなあと、ふと"kamikaze"でイタリア語の辞書を引いたら、「向こう見ずな人;無謀な行為」「(命知らずの)ゲリラ戦士」という意味がしっかり載っておりました。ついでに見たら、フランス語も・・・ドイツ語にはないようです。ついでにフランス語のニュース配信も見たら、イタリアほどではないけれどやっぱり「カミカゼ」という単語がちらほら・・・ラテン語圏では、どうもそういう意味になっている様子・・・やれやれ。
誰かパブリックで、きちんと訂正してくれないかしら・・・。

また、日本のマスコミの報道もどうもさっぱりしないものです。
「観光地で爆破テロ」という煽情的な書き方が多いのには辟易しました。
現場は「観光地の近く」なのは事実だけれど、各社のニュース配信など読んでいると、まるで考古学博物館やシタデル自体がテロの攻撃目標になったような、事実と相当誤差のある報道がされています。

また、某通信社の報道では、明らかに政府の御用機関の人間が「反米感情の高まりが外国人観光客の暴力となって現れた」などと発言していますが、今回のテロは「個人的狂信的感情」を諸々の政府批判や反米感情などに「こじつけた」ものですし、そもそもローカルなポイントで暴れただけで、「外国人観光客への暴力」というのはいささか大袈裟。
そういうまとめ方はかなり語弊があるな、と思った次第。

今回の事件は、ツアーグループなどを狙い撃ちにしたものではなく、観光地に近いけれど、ほとんど観光客のいないポイントでの事件に、偶然居合わせた外国人が巻き込まれたというものです。確かにテロは何でも悪質なのは間違いないけれど、「悪質さの質」は明らかに違います。

ただ、湾岸諸国もエジプトも、昔から「反米感情」が根強いのは間違いありません。イラク危機勃発直前に湾岸諸国へ出張していた家人によれば、「アラブ人が全体にアンチ・サダムなのは間違いないが、それ以上にアンチ・アメリカなのだ」と言っていました。
アメリカのパワー・ポリティクスに対する反感は、昔から根強いものがありますし、昨今の状況を考えるとそれが高まっても無理はありません。

アラブ諸国の利害を超えたイスラーム的連帯感と同朋意識を侮ってはいけないのです。

だから、先のイラク危機のときなどは、どう考えたって始めっから「アメリカがイラクの解放軍」などと思っているアラブ人(エジプトを含め)はいなかったわけです。挙句オバカさんのブッシュくんは「我々は十字軍だ」とかいう、トンデモ発言までかましています・・・それって中世西欧キリスト教圏が一方的に仕掛けた、アラブ・イスラム圏侵略戦争でしたよね・・・しかも何の根拠もない。単なる物資と利権狙い。そう考えてみれば確かにブッシュのアレは別の意味で「十字軍」ですが。

実はアメリカは、中東研究に関しては世界でも指折りの先進国で、エジプトで中東研究を、というと「カイロ・アメリカン・ユニバーシティー」に留学するくらいです。そのアメリカがどうしてここまで、アラブ現地の感情に疎いのかは常に感じるフシギです。
深読みすると、「知ってて敢えて無視している」という胡乱な見方までできます。
一体どうしてなのでしょうね? 

また、エジプト国民のエジプト政府に対する感情について言えば、インターネットなどの電子媒体や携帯電話の普及での影響で、人心や世論の統制が緩まっており、世代交代もあって、一昔前のような「政府への恐怖感」が現地エジプト人の間で薄れている印象は確かにあります。
ムバラクもここにきて、少しあせっているだろうな、とは簡単に想像できます。
その分、この類のテロに対する姿勢は強烈に厳しいものがあるでしょう。自分のクビがかかってるわけですから。

昔は"Lonely Planet Egypt"なんて無害なガイドブックにまで校閲を入れて、ゴクローにも「ムバラクの顔は『ルバシキリの牛』(国内で販売していたクリームチーズの商標が牛だった)と言われている」などという文章が、いちいち黒いマジックで塗りつぶされていた時代もあったのを考えると(昔カイロの本屋で立ち読みして笑ってしまった)、隔世の感はあります。

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